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資格を自社で作りたい!商標はどうしたらいい?

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『自社(自分)で、オリジナルな資格名を作って、その資格を付与するようなビジネスをしたい』このようなご相談が昨今非常に多いです。今回は、そのようにお考えの全ての方に向けて、商標との関係について、執筆いたします。

『自社(自分)で、オリジナルな資格名を作って、その資格を付与するようなビジネスをしたい』

このようなご相談が昨今非常に多いです。

今回は、そのようにお考えの全ての方に向けて、商標との関係について、執筆いたします。


※なお、この記事は2019年6月に執筆したのですが、2020年11月の今でもたいへん多くのアクセスをいただいています。そこで、「資格を自分で創設する」ということについて、分かりやすく、記事を2つ書きましたので、こちらも併せてお読みください^^

3分で理解できる。自分で『資格』を作る方法
(2020年7月4日 )

3分で理解できる。自分で『資格』を作る方法/みぎのうで知財事務所

『資格』を自分で作りたい!個人か法人かどちがいい?弁理士が解説!
(2020年11月20日 )

『資格』を自分で作りたい!個人か法人かどちらがいい?弁理士が解説!


”資格ビジネス”は立派なビジネスモデル

『”資格ビジネス“って最近、よく耳にしますが、どういう意味なのでしょうか?』

『例えば、えりなさんが、スマホのカメラを上手に使ってインスタなどSNSで、人気を集める投稿を出来るチカラがあるとするよね。

それを自分のためだけに発揮してもいいけど、そういう”スマホで上手に写真を撮って、人気インスタグラマーになろう!”という講座を始めて、そのチカラ・知識を欲しがっている人に還元することもできるよね。』

『なるほど。
私が仮に、スマホ撮影&SNS集客講座、みたいのを始めたとして、資格はどう関係してくるのですか?』

『えりなさんの講座に、1度しか足を運んでもらわなくてもよければ、わざわざ資格という形にしなくてもいいかもしれない。

でも、例えば”全5回”とかにして、5回とも来てほしいとしたら、集客のために出来る工夫があると思います。

それが、”5回全てを受講して、簡単な修了テストを経れば、〇〇という資格をゲットできる”という風に、資格にすることです。

そうすることで、ちゃんと、えりなさんの講座を5回全て受けようと思うでしょうし、えりなさんも、その知識を、ちゃんと体系的にじっくり伝授できるし、また、受講したかたにとって、ちゃんと”資格”という形になる。良いこと尽くしですよね。

こういう風に、

”自分や自社の専門性を広く消費者に還元するときに、合わせて資格も付与するビジネス”

のことを、”資格ビジネス”と呼びますね。皮肉っぽく言われる場合もありますが、私は立派なビジネスモデルだと思いますよ。』

 

例えばこれら全て国家資格でなく、民間資格

『この”オリジナルで作られた資格”のことを、”民間資格”と言います。
資格の王道”という資格紹介サイトでは、民間資格のことを以下のように説明しています(一部抜粋)

  • 民間資格とは、民間団体や企業が、独自の審査基準を設けて任意で認定する資格。
  • 企業によっては国家資格や公的資格と同様に、知識や技能があるものとして広く認知されている資格や、直接職業に結びつく資格もある。
  • 認知されている信用度、価値のレベルが高いほど資格取得が困難。

『少しわかってきました。
ところで、そういうオリジナルに作られた資格って、例えばどんなものがありますか?』

『上記で紹介した”資格の王道”というサイトで紹介されている民間資格は実に350個以上あります。そのうち、いくつかを以下に挙げます。』

※その資格の業務領域の中には、単に民間資格を作れば取り組める、というわけではなく、所轄官庁に届け出などをする必要のあるものもあります。

 

登録商標になっている資格名の実例

『民間資格って、普段よく耳にするものも含めて、本当にたくさんあるんですね!

もし、私が、本当に、スマホで撮影してSNSで上手に集客する、という資格講座を開設しようと思ったとき、手始めに、何をしたらいいでしょうか?』

『私なら、、おおよその以下の手順で、資格講座を開設します。』

  1. まず、その資格でどのような能力が身に付くのか、を明確にする
  2. その能力のために、どのような受講内容を盛り込みたいか、リストアップする
  3. その内容に適合するように、オリジナルの資格名の候補を作る
  4. その資格名を謳ったときに、第三者から”商標権侵害だ”と言われないかどうか、登録商標の調査をする
  5. 類似する他人の登録商標がなさそうであれば、自社の資格名を決定する
  6. その資格名の商標登録を検討する

『なるほど~。実際、どのような資格名が商標登録されているのでしょうか。』

令和になってからの約1ヶ月半(5/1~6/15)で登録となった”資格名”と思われる登録商標は例えば以下の通りです。(とりあえず検索結果から20件をピックアップ。ほかにもまだありそうです)』

  1. ヒューマンリソースカウンセラー(6141992)
  2. 爪切りマイスター(6142084)
  3. 教員教科指導力検定(6142167)
  4. 生活習慣病予防プランナー(6142174)
  5. デジタルスポーツトレーナー(6142180)
  6. デジタルスポーツコーチ(6142181)
  7. 目標実現アンバサダー(6142256)
  8. 生命保険鑑定士(6142518)
  9. 企業危機マネージャー(6142600)
  10. 人材検定(6142601)
  11. 企業危機管理士(6142602)
  12. 機能性表示食品検定(6142638)
  13. CBアドバイザリー(6142910)
  14. 労災事務管理士(6142950)
  15. 空手療育士(6143108)
  16. ストレスチェックサポーター(6143754)
  17. Tik Toker(6144053)
  18. 不動産賃貸経営博士(6144293)
  19. 不動産経営博士(6144294)
  20. 美脚ディレクター(6144719)

 

 

商標業界では、41類は魔法の分類

『様々な分野のオリジナル資格名が、たくさん登録となっているんですね!しかも、令和になってからまだ2ヶ月も経っていないのに、こんなにたくさん、まだまだ存在するわけですもんね。

あの、、商標を取るとしたら、資格名は、どういうサービス分野で取るのが適切なのでしょうか?』

『私が商標取得のご相談をいただく際にも、大人気のサービス分野がありまして、それが、

第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授

上記に代表される分野です。

特許庁が定めた文言であれば上記の表現で資格名を取りに行くことになりますし、サービス名を自作することもできますので、自作するとしたら、例えば以下のようなサービス名を作ったりします。

資格の認定・資格の付与

(このサービス名は、前述の「技芸・スポーツ又は知識の教授」と同グループとなるため、特許庁の定めた通りのサービス名を使いたい、という場合は、「技芸・スポーツ又は知識の教授」で資格名を商標登録していれば、足ります。)

 

『41類では、「技芸・スポーツ又は知識の教授」しか取得できませんか?』

『いいえ。41類が大人気なのは、何か講座を提供したい、という場合は、とても便利な分類なんです。例えば、特許庁の定めた表現だと、以下全て41類なので、同一料金内で、含めることができます。

講師業のようなビジネスをやりたいかたにとって、まさに魔法のような分類と言えます。』

  • セミナーの企画・運営又は開催
  • 電子出版物の提供
  • 教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作
  • 興行の企画・運営又は開催
  • 書籍の制作

 

資格名を登録商標した場合のメリット

『たむきょんさん、仮に私が、以下のような資格を立ち上げ商標登録した場合、どういうメリットがあるのでしょうか。』

  • 資格名:SNS集客インストラクター
  • 内容:上手な撮影方法や、投稿や更新のタイミング、フォロワーの増やし方などを、それらに興味のある人に教えるスキルを身に付ける

『その資格名が、商標登録になれば、えりなさんには以下のようなメリットが考えられます。

  1. 他人は似たような資格名を設けられない、宣伝できない
  2. もしどうしても似たような資格名を設けたいと他人から相談があった場合、年額いくら、などでライセンス契約なども可能
  3. 似た資格名の乱立を防ぎ、その資格名の”品質基準”を自分でコントロールできる
  4. ただ、セミナーや個別指導で知識を伝授するだけでなく、資格取得を目指して、まとまった回数を受講してもらいやすくなる
  5. その資格を取得した人が名刺などに「SNS集客インストラクター®」などと挿入してくれたら、どんどん宣伝広告効果が高まり、口コミで、えりなさんの講座に人が集まる可能性

ただ1点だけ補足すると、「SNS集客インストラクター」という資格名では、商標登録は難しいかも、しれません。』

『メリットは理解できました!魅力的ですね!
ところで、”商標登録は難しいかも”というのは、どういう意味ですか?!』

『世の中のほとんどの人は、”SNS集客インストラクター”という名称を聞いて、どんなインストラクターなのか、簡単に想像できますし、その想像は、ほとんど皆、大差ないと思います。
そう考えると、”その名称は、サービス内容そのものを名称化したに過ぎない”と言えるので、そういうサービス内容そのものの名称化について、特定の人に、商標登録を認めてくれることはしないんです、特許庁は。

そういうのを、”記述的商標”と言って、こういう場合、商標登録は認められません。

ただし例えば、以下のような工夫をすることで、商標登録は可能と考えます。』

  1. SNS集客インスラクター(”ト”を”タ”にしていることで造語化
  2. SNS集客インストラクターに簡単なロゴマークを付して商標登録を目指す

 

 

だいたいの費用感

 

『なるほど。資格名はあまりに直感的すぎると、商標登録を認めてもらえない可能性があるんですね。理解できました。
だいたい1件、資格名を商標登録しようと思ったら、いくらぐらいかかるのでしょうか?』

『もし”こんな資格名はどう?”と思いついたら、その時に気軽に相談してください。えりなさんに限らず調査やコメントも、無料でご提供します。

さて、資格名を商標登録する場合の総額は、以下の通りです(当所)』

申請(出願)完了時

  • 印紙代12000円
  • 当所手数料34800円
  • 総額46800円(+源泉)

登録時

  • 印紙代16400円
  • 当所手数料29800円
  • 総額46200円(+源泉)

※登録は5年分

お気軽にご相談ください⇒こちら

 

 

執筆:田村恭佑
(弁理士×経営コンサル×認知心理学)

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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