
こんにちは。弁理士の田村(たむきょん)です。
最近、「民間資格を自分で作りたい」というご相談をたいへん多くいただきます。
特に多いご質問が、「何から始めたらいいか分からない」という、最初の段階のご相談です。
今回、民間資格を自分で作るときの、おおまかな手順を記事にします。
参考になれば幸いです。
【関連記事】民間資格を自分で作る!最も大切な2つのポイント
いきなり”資格名”を決めないで!
『私、ストレッチの仕方を指導する民間資格を作りたいんです。それで、かっこいい資格名を考えてみたんですが…』
『すごいですね!民間資格をご自身で作られるなんて。
ストレッチの仕方を指導する人の資格なんですね。
ちなみに、何ていう資格名を考え出したんですか?』
『”OLストレッチトレーナー”です。デスクワーク中心の女性にふさわしいストレッチを教えられる資格なんか、どうかなと思って。どうでしょうか?』
『とても素敵な資格名だと思いますよ!
ただ、今日僕は”民間資格を作る上で、まず資格名から決めるのは、避けたほうがいいですよ”と、お伝えしようと思っていたんです。』
『どうして、まず資格名から決めてはいけないんですか?』
『民間資格を作る上で、直感で、「こういう人たちがターゲットになるだろう」と感じることがあると思います。その上で、シンプルに資格名を決めてしまうこともあると思います。
でもできれば、まず、”その資格がないと、どうしてダメなのか”という必然性など、もっと民間資格を作ることの意義をはっきりとさせてから、資格名など、具体化に移ったほうがいいと私は考えます。』
民間資格を作る上で、どのような手順が理想か
『そうなんですね!では、どんな手順で、スタートしたらいいんでしょうか?』
『少し前の記事で”民間資格を自分で作る!最も大切な2つのポイント”を説明しているので、その記事も参考にしてみてくださいね。
【参考記事】民間資格を自分で作る!最も大切な2つのポイント
』
民間資格を作る上でのおおまかな手順の提案
民間資格を作る上で理想の手順をまとめるとすれば、おおまかには以下の手順で進めるのがいいのではないかと考えています。でも、絶対ではありません。
弁理士からのアドバイスとして参考にしてみてくださいね。
- 【大原則】どうしてその民間資格が必要なのか、その資格がないと、どういう問題があるのかを、文章にまとめてみる(必然性)
- 【原則】自分はどういう目的意識で民間資格を作りたいのか、本音を明確に文章にする(本業?副業?社会貢献?など)
- 期日を決める。何月何日に、民間資格を公に宣伝、公表したいか、決めてしまう(ただし6か月後以降がお薦め)
- 3年後の”規模感”の目標を仮決めする。例:3年後に何人に資格を取得してほしいか、その1年間で売上は●円以上、など。決めたからと言って縛られる必要はありません。
- その3年後のために、1年後は、せめて、どういう状態でありたいか、を思い描く。例:まず10人の受講者にトライアルで取得を目指してもらい、必要な教材、試験、知識のメンテナンスなどを少しずつ明確化していく
- 今日からの1年間で、優先順位の高いものを明確化する。例:教材は冊子?映像?音声? どの程度のWebサイトが必要? 試験方法は筆記?実技? 1人当たりの料金はどれぐらい?
- どのような資格名がふさわしいか、専門家の意見も聴きながら2、3つの候補を練っていく(1つに決め過ぎないこと。必ずしも、その資格名がふさわしいとは限らないため)
- 資格名が1つに絞れたら、商標登録の申請を専門家に相談・依頼する
- それらが出来たら、いよいよ1つ1つ、資格の具体化のための活動をしていく(Webづくり、教材作りなど)
期日や、具体的な目標は大切です
『資格が出来上がる前から、期日や目標って決められないんじゃないですか?』
『そうですね。きっと最初に決めた期日や目標は、資格作りが具体的に進んでいく中で、少しずつまた変わっていくものでしょう。
でも、変わってしまってもいいから、早い段階で決めてしまってほしいんです。
それらが決まると、”逆算”して、今月はどこまで少なくとも進めていたいか、が見えてきます。逆に、期日や目標を決めないと、緊急性が低いため、今、資格作りのために動く”必要”がないので、ずるずるとモチベーション(やる気)も落ちてしまうんです。』
資格名を決めるときに大切なこと
『いきなり資格名を決めることからスタートするのではなく、資格を設ける必然性を考えたり、目的意識を明確にしたり、そして期日や目標を決めること。その後に資格名の検討に入ったほうがいいことは分かりました。
では、資格名を決めるときに、大切なことって何ですか?
『はい。大きく2つあります。
- 「これしかない!」と最初からたった1つに絞りすぎないこと
- 2つぐらい案ができたとき、商標登録を目指す。
商標登録を目指す段階で、資格づくりに詳しい弁理士事務所に相談をして進めるのがおすすめです。
まず、民間資格を作る上で、大切なことは”その資格名に類似する”こと。または、”同一の資格名がポコポコと生まれない状態にすること”です。そのためには、ご自身の資格名の”商標登録”は必須です。
逆に、ご自身の資格名を商標登録してしまえば、ほかの人は、あなたの資格名と同じまたは類似する資格名で、資格を立ち上げることはできなくなります。
超大手の企業や団体が国家資格や公的資格を作るような、大規模な資格づくりである場合を除いて、民間資格であれば商標登録は不可欠と考えていただいて間違いないと思います。』
特許庁に商標登録が認められない場合がある
『商標登録を目指す上で、”この資格名では、特許庁に商標登録を認めてもらえない”という名称があります。これは、弁理士が調査をしたり、過去の例と照らして検討しないと、判断が難しいものです。
ですので、1つに決め過ぎないこと。そして案ができたら、資格づくりに強い弁理士に相談をすること。
これらが大切なんです。』
『分かりました!
では、資格名づくりにいよいよ入るとき、たむきょんに相談しますね!』
『お待ちしています。”私も民間資格を作りたいなぁ”という最初の段階でも構いません。当所は2種のサービスを行っています。
- 商標登録のお手伝い
- 民間資格を作る上での全面的なサポート
ですので、気軽にどの段階でもご相談ください(フォームはこちら)』
民間資格を作ることに興味あるかたは、こちらのブログも参考になさってください。
【関連記事】3分で理解できる。自分で『資格』を作る方法
執筆:田村恭佑
(認知心理学×弁理士×経営コンサル)