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人手不足の時代における、フランチャイズ本部の責務は何か?

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こんにちは。 経営コンサルタント(主に収益向上・人材採用・人材育成)、弁理士、人間関係メンターの田村(たむきょん)です。   昨日のYahooニュース(共同通信)、そして、今朝はテレビでも、 「とあるコンビニの...

こんにちは。

経営コンサルタント(主に収益向上・人材採用・人材育成)、弁理士、人間関係メンターの田村(たむきょん)です。

 

昨日のYahooニュース(共同通信)、そして、今朝はテレビでも、

「とあるコンビニの加盟店が、奥様の逝去により、24時間営業をできないと、FC本部に相談したら、損害賠償請求1700万円だと脅されてしまった」

という報道がありました。(共同通信の記事はこちら)※記事は予告なく削除される可能性あり

 

これまで、合計13年ぐらい、フランチャイズの本部にも加盟店にも携わってきている私として、今回の報道により考えることをまとめます

 

今回の報道のまとめ

『今回のニュースは、今朝のテレビで見ました。まとめると以下ですよね。

  • もともと慢性的な人手不足だった(特に深夜時間帯
  • しかし、フランチャイズ加盟の契約により、24時間営業させることが各加盟店に義務付けられている
  • 今回のオーナーは、奥様と2人でなんとか、人手不足を補っていたが、奥様がお亡くなりになって以降、オーナー一人では、どうしても24時間営業を維持できそうにない
  • もちろんオーナーも、人材募集などは継続してやっていたが、なかなか思うような補充にはならない
  • そこで本部に、「24時間営業ではなく、深夜時間帯は、閉めさせてほしい」と相談したところ、許可してもらえなかった
  • オーナーは強硬手段として、お客様に張り紙で通告した上で、深夜時間帯にお店を閉めることに
  • そしたら、本部から、「契約違反。契約解除の場合、違約金1700万円以上」と、言われてしまった

『まとめてくれた通りですね(オーナー側の解釈のため、本部の言い分はまた別に在るかもしれませんが)

しかし、オーナーには、「深夜の営業は難しいから、コンビニを閉業します」とはいかない事情もあると思うんです。

副業としてフランチャイズに取り組んでいるオーナー企業なら、1店舗閉めても、収入はあるでしょうが、コンビニのオーナーは多くの場合、それをメインの職業にされていますよね。

そうすると、たった1店舗経営されている場合、その1店舗を閉めるということは、オーナーは暮らしていけなくなりますよね。
だから、たとえ人手不足でも、なんとか経営を続けたい、という苦肉の策の心情があると思います』

FC本部は、深夜時間帯の閉店を、認めてあげることは出来ないんですか?』

『以下を理由に、拒んでいるのでしょうね・・

  1. 深夜時間帯の売上減は、ストレートに、本部の「ロイヤリティ収入」減につながる
  2. 1店舗に深夜営業の中止を認めると、全ての加盟店にも、同じ申し出をされる可能性ができてしまう
  3. だから、絶対に深夜営業をしてもらうために、そういうフランチャイズ契約を交わしている
  4. 本部の言い分としては、「コンビニが深夜に営業していることは、社会インフラの一部なんだ。社会から求められているんだ」というもの

 

5年後は、どういう世の中が待っている?

『私も感じますが、今の世の中って、特に飲食店とか物販とか、そういうサービス業種は顕著に、みな口をそろえて”人手不足”とおっしゃりますよね・・』

『そうですね。
私が、初めてフランチャイズ本部に携わっていた16年前は、人手不足は深刻な問題ではありませんでした。
私が独立して、4年前ぐらいから、今度は、フランチャイズ加盟店のオーナー様からご相談いただく立場になりましたが、急速に、”人手不足”の波がやってきました。

そして・・・

5年後は、今の比にならないぐらいの”超深刻な人手不足”の時代になります。これは、間違いない将来です』

『えぇ・・・?!
そうだとしたら、、今のフランチャイズ本部と加盟店の関係は、意固地になって、”24時間営業以外はNG”などと、言っている場合ではないのではないでしょうか・・?!』

『まさしく、おっしゃる通りですね。
それなら、加盟店にしても、本部にしても、どんな対策を取っていくことが大切なのでしょうか?』

FC加盟店ができる努力とは何か?

『まず、、加盟店側は、どんな努力ができるのでしょうか?』

【非常に重要なコメントです】

  1. 全ての加盟店が正しく、人手不足の具体的な現状を、担当スーパーバイザーに報告すること
    (入りづらい年代、月間の募集コスト、入りづらい時間帯、補充が必要な頭数、その他)

  2. 1つの高価な媒体に掲載したことに満足せず、たくさんの”触手”を作って、採用活動を継続する(参考記事はこちら
    (例:友人紹介、INDEED,ポスティング、お客様に手配りチラシ、ポスター、のぼり、などなど)

  3. 負担のかかっているスタッフのケア、負担分散の経営、離職を未然に防ぐ
    (例:1人ずつ月に1回は個人面談をして、お店に求めること、不満などをしっかりと吸収する)

  4. 人件費の高騰を招いたとしても、アルバイトだけで埋めずに、社員登用を積極的に行う
    (例:更に、社員が継続的に向上心を持てるような、研修制度、昇給制度なども、構築していく)

 

 

FC本部がしたほうがいい努力とは何か?

『なるほど。すぐに始められることもたくさんありますね。
次に、FC本部側は、どのような努力をしたほうがいいのでしょうか?』

【非常に重要なコメント】
とにかく、”加盟店の現状を正しく理解”し、現状の課題や5年後に想定される大きな課題から、”目を背けない”ことです。
具体的には以下が、本部のしたほうがいいことと考えます。

  1. 担当スーパーバイザーは、全ての担当加盟店の、人手不足の具体的な状況を、月に1度は情報を更新して、取りまとめ続ける
    (例:社員・バイトの構成比、在籍数、採用コスト、ヒットの多い媒体、その他ヒットの見られる各加盟店のノウハウ、などなど)

  2. 加盟店における、”シフトイン人数が少なくできるための、効率化の工夫”をノウハウブックにし、全加盟店に展開していく
  3. 人件費率は必ず高騰しますから(採用がうまくいかなければ時給をどんどん上げる傾向にならざるを得ない)、総合的に営業利益が出るよう、PB商品の原価率や、その他の原価率の調整、そして、ロイヤリティの在り方について、絶えず再検討する(とにかく5年後を見据えて柔軟に)
  4. 本部による、教育担当社員(スーパーバイザーとは別に)の部隊を拡大して、新人スタッフの教育支援、店長や社員の教育を、順々に行っていく生産性を上げる努力)
  5. リクルートや他の人材募集媒体企業と、企業間で、交渉をし、スケールメリットを活かして、各加盟店の採用コストが下がるような協力関係を結んでいく
  6. そのFCチェーンで働くことが、若者にとって将来へのメリットが大きい、と感じてもらえるようなブランディング・福利厚生
    (例:社会人研修を、本部で行ってあげる、就職に求められるスキルの研修を安価に受けられる、海外への留学支援、など)

  7. 深夜時間帯の閉店を柔軟に認めてあげる。深夜時間帯に閉店をしても、加盟店が営業利益を出せるような収益構造、ビジネスモデルを再検討する
  8. 本部の開発により、”人を介さないで、商品を購入できる”システムを、どんどん導入していく
  9. 深夜の営業が社会インフラ、と言うならば、監視カメラの増強、警備会社との連携など、セキュリティ強化により、安全面の担保を更に拡充する

他にもあるかもしれませんが、とりあえず、非常に重要な役割は上記です。』

 

 

今後のフランチャイズはどうなっていくか?

『人手不足は深刻な問題だと感じるのですが、今後のフランチャイズ、コンビニ、飲食店は、どうなっていくのでしょうか?』

『当然に考えられるのは、”採用コストや、高まる時給を、何かで補填しなければならない”ということですよね。
つまり、”商品やサービスの値段”は、これから、どんどん上がります。コンビニのおにぎりの平均単価が今130円ぐらいであれば、5年後には、200円にはなっているでしょう。』

『なるほど、、、私たち消費者が、何かサービスを受ける、場合に、全ての料金が高くなる、と思えばいいのですね。
他にも、予想されることはありますか?』

『大きい話でいえば、店舗数はどんどん減ります。1つの街に3つ、あったのが、3つの街に3つ、など、少し足を延ばして、お店に行くことにはなるでしょう。
そして、全ての店舗の営業時間は、コンビニに限らず、短くなるでしょう。
深夜営業は、基本的には、ほとんど無くなるか、セキュリティ面で担保された無人店舗、などが出来てくるでしょう。

不便さを感じると、想像するかもしれませんが、便利になりすぎたのです。
江戸時代や明治時代は、当然、”出来る範囲でサービス提供され、その範囲で、私たちは商品やサービスを求めた”わけですから、私たち自身の”ふくらみ過ぎた欲求”も、適切な形に、修正していく必要があるのでしょう』

 

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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