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飲食店が利益を改善したいとき、『3つ』のことから着手しよう

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飲食店やサービス店舗を経営されている御方から、『なかなか利益が上らなくて困っている』というご相談をいただくことは非常に多いのですが、そのようなご相談をいただいた際、例外なく、どういう手順で利益・収益の改善を検討するか、を...

飲食店やサービス店舗を経営されている御方から、『なかなか利益が上らなくて困っている』というご相談をいただくことは非常に多いのですが、そのようなご相談をいただいた際、例外なく、どういう手順で利益・収益の改善を検討するか、を簡潔に記事にします。

前提として、一番最初にチェックすること

先生は、そういう相談を受けたら、真っ先には、どういう点をチェックするんでしょうか?

うん。私に限らず、間違いなく、まず、月間の損益計算書をチェックすると思うよ。

損益計算書?

その1か月の、
・売上
・人件費・原価・家賃・返済などの”コスト”一覧
・売上からコストを引いた営業利益
これらが表になっているものだよ。

損益計算書を毎月作っていない店舗はどうしたらいいんですか?

そういう経営者様もおられます。その場合は、1つ1つの項目を、聞いていきます。問題なければ、通帳を見せていただいたり。

その損益計算書を見ると、何が分かるんでしょうか?

簡易的な、「健康診断」みたいなものだと思うので、目下、どういう所に問題がありそうか、の問題点が少し見えてきます。ただ、私にとっては、その問題点よりも、「損益分岐点」をはっきりさせることが、1番の目的です。

「損益分岐点」とは?

聞いたことはありますが、「損益分岐点」とは、簡単に言うと、どういうことでしょうか?

『せめて、この売上を月間で上げなければ、営業利益が必ず赤字になる』という売上のことです。

計算は、複雑なんでしょうか?

いいえ、とっても簡単です。飲食店やサービス業種の経営者様は、今、手元に月間の数値があれば、すぐに出すことができますよ!

家賃+返済額+水光熱費+固定給与+消耗品費などの『ほぼ固定費』

をまず出します。例えば、

家賃40万円+返済額30万円+水光熱費7万円+固定給与40万円+消耗品費20万円=137万円としましょうか。

次に、

おおよその原価率+変動する人件費率(固定給を除く)

を出します。例えば、

原価率40%+変動する人件費率15%=55%とします。

あとは、以下の計算式で、損益分岐点=少なくとも必要な売上高をおおよそ算出できます。

固定費137万円 ÷ (100% - 変動費率55%)=305万円

つまり、上記の”例えば”の数値の店舗であれば、『少なくとも305万円、月間で売り上げなければ、常に営業利益が赤字になる』ということです。

まず、黒字に必要な月間の売上を明確にする

つまりは・・このお店は、まずは305万円以上を売り上げることを目指そう、ということでしょうか?

そうですね!私ならまずは、損益計算書や月間の数値を見せていただき、『黒字化のために目標とする売上』を明確にし、『現状の売上』とのギャップを算出します。これが、『1つ目』と言えます。

2番目に、その売上額に無理がないか

黒字に必要な売上が明確になったら次は何をすればいいでしょうか?

次は、『その売上が、本当に不可能ではない売上なのか?』をシミュレーションしてみます。

シミュレーションというと?

例えば、前の例だと、305万円が必要と分かったよね。お客様1人あたりのだいたいの客単価(お食事の平均単価)が1000円だとしましょうか。そうすると、
305万円 ÷ 客単価1000円 =3050名
3050名、月間にご来店いただく必要があります。

えっ?!そんなに?ちょっと多すぎませんか?

えりなさんは感覚が鋭いですね。私もそう思います。これを、曜日に分けて考えてみます。
平日と土日(定休日なし)で分けると、月間に土日は8日、平日は22日、あるとしましょうかね。
だいたい土日に1日あたり100名ずつ、ご来店があるとすると、
3050名 - (100名×土日8日)= 1850名(平日に必要な客数の合計)

1850名 ÷ 平日22日 = 84名(平日1日あたり必要な客数)

そんなに?!それは現実的ではないと思います。。その場合、どうしたらいいんでしょうか?

損益分岐点を計算すると、実はこんな状態だった、というのは、びっくりするぐらい、よくあることです。
こういう状態の場合、大きく2つの対策があります。

A お客様1人あたりの客単価を1000円ではなく、1500円になるよう工夫する

B 損益分岐点売上自体を、下げる努力をする(固定費と変動費率を改善する)

Aをできると、休日の客数が100名のままだとすると、平日の客数は、56人の客数で、損益分岐点をクリアできます。

Bについては、次の章で後述します。

3番目に、コスト面ですぐに改善できるものはないか

Bの「損益分岐点売上自体を、下げる」というのは、裏技のように感じてしまうのですが・・

いいえ、そんなことはありません。実際に、私が経営コンサルタントとして入らせていただくお客様では、もちろん、売上の向上は重要なミッションである場合が多いですが、同じぐらい、コストダウンのご指導・ご助言をすることも多いですよ。

でも、それって1年とか、かかりそうです・・。1,2か月ですぐに「損益分岐点」って変えられないでしょう?

そんなことはありません。すぐに変えやすいのは、変動費のほうです。
例えば、原価率を全体的に下げようと思うと、「品質」まで落としてしまいかねません。メニューの中に、原価率を圧迫しているメニューがあったりします。そのメニューの価格を、1000円だったところ、1500円として適正な原価率にする、などの対策が考えられます。

それって、客単価の向上にも繋がって、黒字化に向けて加速しそうですね。

そうですね。あと、お食事後のお客様のお皿を見て、よく残されている場合、量も見直せる可能性があります。それでも原価率は落とせますね。「商品の品質を落とさずに、5%でも、原価率を落とす」こんなことを目標とするといいでしょう。

人件費率は、どうでしょうか?

はい。原価率よりも、人件費率に問題がある場合が、多いです。人件費率は、経営者としては、「予算ありき」でシフトをお作りになる意志が必要と、ご助言しています。つまり、上記の例だと、今は15%ですが、無理のない損益分岐点を実現するには、10%以内にしなければならない、ということが分かれば、その10%×予測売上で、シフト組みに使用できる人件費額を算出して、その予算内で、シフト組をする、という努力が必要です。これも、1か月後にはすぐに、成果が出ます

えっと、最後に、以下の努力をした場合、どうなるか、計算してみたいです!!

客単価1000円⇒1500円

原価率40% ⇒ 35%

変動人件費率15% ⇒ 10%

計算してみましょう!まず、省略しますが、損益分岐点は、
固定費137万円÷(100%-45%)=250万円
次に、平日に必要な客数を出します。
250万円 ÷ 客単価1500円 = 1700名
1700名 - (休日100名 ×8日)= 900名
900名 ÷ 平日22日 = 41名(平日1日に必要な来客数)

どうですか?

おおーー!もともと、先生がいらっしゃらなかったら、平日毎日84名も集客しなければいけなくて、絶望的だったのが、先生と話し合っただけで、平日41名と現実的な集客数になりました!!なんとかなりそうです!

でしょう?最後におさらいです。飲食店が利益を改善したいとき、以下の3つのことから着手しましょう。

  1. 黒字化に必要な月間の売上を明確にする
  2. その売上が現実的なものか、判断する
  3. コスト面で改善できる点はないか、検討する

 

 

 

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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