
最近少しウィンタースポーツの人気が陰っていると言われていますが、多くのかたが、スキー場で、高い割に全然美味しくないラーメン、カレー、丼を食べた経験があるのではないでしょうか?
今日は、スキー場のラーメンを題材に、ビジネス全般に言える商売の鉄則を考えてみませんか。
( ^∀^ )
※最近は、多くのスキー場で、レストランの食事の質の向上が図られていると聴いていますので、あくまで一般論です
スキー場でこんな感想を抱いたことはありませんか?
『私も、5年前までよくスキーやスノーボードに行っていました。そこにある食堂には、あまり良い思い出は、、ないかもしれません・・』
『スキー場によく足を運ぶかたは、多かれ少なかれ、以下のような感想を、スキー場の食堂に感じたことはあるのではないでしょうか?
- 何を食べようと思っても値段が高い
- 高いから、さぞ美味しいものが出てくると思ったのに、さほど美味しくない
- 冷えた身体を温めようと、ラーメンを頼んだが、1000円で、この味というのは納得いかない
- 去年美味しくなかったから、少しは改善されていると思ったが、今年も安定の不味さだった』
スキー場でランチを食べるかたの共通点
『スキー場のご飯が、高い割に、味がイマイチで在り続けるのって、どこに要因があるのでしょうか?』
『それは、”スキー場でランチを食べる人はどういう人たちか”を考えると、答えが見えてきます。
挙げてみてください。』
『例えば・・・以下は、スキー場でランチを食べる方々の共通点でしょうか?
- その食堂で食べずに、ほかで食べる、という選択肢を選びにくい
(ライバル店舗が無い)
- 午前にたっぷり運動し、場合によっては夜行バスや長距離移動での来訪で疲れており、かなり空腹である
(空腹を満たすことの必然性が高い)
- よほど気に入ったスキー場である場合を除いて、来年も同じスキー場に行く、というケースは少ない
(ほとんど全員が、一見(いちげん)さんであり、リピートしない可能性が高い)』
『その通りですね!えりなさんが挙げてくれた3つこそが、スキー場の食堂のご飯の質を決めていると考えます。』
美味しくなりようがない”市場原理”
『・・・と言うことは、つまり、食堂に、美味しいものをより安く提供したい、という精神が不足している、と見るよりも、市場(マーケット)ニーズが、そうさせている、ということでしょうか?』
『そうです。例えば・・・
- ラーメンを1000円から750円にする必然性はありますか?
1000円でも、食べたければ注文せざるを得ませんよね。
- ”不味かった”という感想を抱いたお客さんは、そのことをアンケートなどに書いてまでして、食堂で出される料理の味の改善を、望みますか?
もう行かない、食べない確率がとても高いことを、うっすら自覚しているのですから・・
- 80%のお客さんが、一見さんだとしたら、お店は、もう1度来てもらいたいから、味と料金を見直していこう、というマインドを持ちづらいですよね?
そのマインドを持ったところで、高い確率で、同じお客さんに再来店してもらえないのですから・・
』
『なるほど・・・』
『猿から人間に進化するときに、地面を歩くので、必要のなくなった”尻尾”は退化していきましたよね?
それと一緒です。スキー場の食堂は、基本的には、味と料金を、毎年毎年、見直していく必然性に乏しいと考えがちなため、いつ行っても、”高い割に不味い飯”が並んでいるのです』
同じ市場原理は、こんな所でも見られる
『スキー場は1つの例ですよね?きっと、同じような市場原理が働いている所って、他にもありそうですね。
以下が、共通点でしょうか。
- ライバル店が存在しないか、少ない
- 一見さんがほとんどである
- お客さんが、味や価格の将来的な改善を、そこまで望まない
』
『全てを満たす場面は、少ないかもしれません。
しかし、例えば以下の例は、えりなさんが挙げてくれた1~3のどれかには、あてはまりますので、スキー場と同じような市場原理が働いている可能性がありますね。
- 学食や社食(ライバル店が存在しない)
- 外国人などが多い観光地(例:浅草、京都、富士山)
- 出張サラリーマンなどが食事によく利用する繁華街(例:すすきの、中洲、名古屋駅など)
- 地方の空港内
(羽田や成田は、それなりのライバル店が存在しますので、それ以外)
』
『確かに、、そうですね。私も、そういう所で、高い割に、美味しくないものを食べた、苦い経験があるように記憶しています・・
でも、その一方では、例えば、「3」の出張サラリーマンが多い繁華街なんかだと、事前に口コミサイトなどで調べて、人気店を最初から狙って、食事に行くようなケースも、よくあることですよね?』
『そうですね!!
まさに、今日の言いたいことに、近づいてきています。』
あなたのビジネスにあてはめると、どうなるか?
『今回の市場原理は、スキー場の食堂や、一見さんの多い観光地の問題でしょ?と終わらせたら、もったいない話なんです。
私は、このような市場原理を全く意識していない企業、経営者さんであっても、知らぬうちに、スキー場の食堂のようなサービス提供、商品提供をしてしまっている可能性がある、と思っているんです。』
『つまり・・・
- 顧客の比率で、新規客(一見さん)と、リピーターでは、新規客が多いような場合
- ”うちの商品(サービス)は、こうですよ。受け入れていただけなかったら、構いません”、という姿勢
- 商品の品質、サービスの品質、そして値段、これらが最適なものか、疑おうとせず、お客さんにも感想を尋ねない
- 結果、新規客は新規客のままで、いつまで経っても、新規客とリピーターの比率が、変わらずに、新規客のほうが多い
という状態に陥っている企業、経営者さんがいるんじゃないか、ということですか?』
『その通りです!
しかも、昨今、一般消費者向けの商品やサービスであれば、口コミサイトが大抵存在しますし、企業 対 企業 の取引であっても、SNSなどでお互い、アウトソーシングの感想を、伝えあって、共有しあっていることが多いですね。
だから、たとえ、一見さんが多い特徴のあるビジネス、店舗であっても、
”一見さんと思うな、応援団だと思え”
という精神で、品質や価格について、感想を伺い、絶えず、お客さんのニーズにマッチするような、改善努力が、必要なわけですよね!!
これは、スキー場の食堂に限らず、あらゆるビジネスにおいて、とっても大切な考え方です。』
執筆:田村恭佑
(経営コンサルタント/弁理士/人間関係メンター)
※最後に改めて書きますが、最近は多くのスキー場の食堂で、料理の味の改善が見られていると聞いています。