
小学生のスポーツの指導に携わる方々、保護者の皆様に、問題提起をさせていただき、最終的なゴールは、スポーツに取り組む全ての小学生の方々に、健全なスポーツの環境を指導者皆様、保護者皆様と築き上げられたら幸いです。
第1話 『パワハラしないと、強いチームにならないの?』
第2話 『指導者と選手は”対等”と強く意識しよう』
第3話 『メンタルの強さは、技術よりも大切』
第4話 『チームと個人。どちらに重きを?』
第5話 『大谷翔平選手の新打撃コーチの方針に学ぶ』
第6話は、コーチ、監督など指導者が、選手と話すとき、選手に指導するとき、どういう態度が良いのか、という内容です。
サングラスをかけたまま”円陣”
皆さんが保護者として、もしくはコーチとして携わっている小学生スポーツでは、以下のような光景が、よく見られませんか?
- サングラスをかけたまま円陣を組ませて、話し続けるコーチ
- 腕組みをした状態で、選手に話し続けるコーチ
- 遠くの選手へ、怒鳴るように呼び捨てをするコーチ
- 円陣を、笑顔で終えられていないコーチ
それでは、上記1つずつ、選手の目線になって、どんな感情を抱いているか、代弁してみましょう。
- 『サングラス、怖い。どんな目してるのか、僕は(わたしは)、どこを見ればいいのか・・怒っているのかも・・』
- 『なんだか気持ちに壁を感じる。親が腕組みしてるときは、たいてい叱られるか、イライラしてるとき・・』
- 『ビクッ!!なんか、悪いことしたかな。ミスを叱られるのかな。怖い。』
- 『はぁ、毎回、円陣って、叱られるためにあるよな。円陣でモチベーションが上がったことないよな・・』
指導者のかたが読んでいたら、あなたが小学生だとして、あなたのコーチが、サングラスをしたまま、もしくは腕組みをしたまま、あなたに話しているとしたら、少なからず圧迫感を感じるのではないでしょうか。
遠くから、呼び捨てで、名前を叫ばれたとき、まず「これから褒められる」と感じる人は、皆無ですよね。
むしろ、「うわ、怒られる!失敗した!」と、あなたが小学生だったとしたら、そう怯えていたのではないでしょうか。
(小学校でも、全ての教員が徹底して児童を「さん」付けで呼んでいるのは、自分が思っている以上に、呼ばれた相手は、呼ばれ方1つで委縮してしまったり、キツく感じてしまうからですね。)
どれだけ指導者が、選手に目線を合わせられているか
コーチング心理学の世界では、以下のように、憂いているコーチが非常に多いのです。
『人は、教えられたように教え、育てられたように、育ててしまう』
子供の時に親に厳しくされ続けたかたが大人になると、それが子供を窮屈にさせると分かっていても、やはり同じように子供たちに厳しくし続けてしまう。
子供の時に入っていたスポーツのチームで、怒鳴られて指導されたり、体罰のように厳しくされて指導されたりしたかたが大人になると、そうされたから、自分は育ったのだ、と思い込んでしまい、子供たちにも、同じように、怒鳴ることを基本にしたり、体罰じみた接し方をしたり、してしまう。
いつも、ご自身の指導の仕方を、立ち止まって見つめ直す習慣を付けていただきたいのですが、視点は、とてもシンプルでいいのではないかと存じます。
それは、
『主役である選手は、大人に何を望んでいるのか?』
ということです。
多くの場合、主役である選手は、大人に、以下をただ単純に求めています。
- そのスポーツで活躍するために、具体的な技術のアドバイスを欲しい
- 自分の疑問や質問に、分かりやすく、答えてほしい
- ケガを未然に防ぐアドバイスが欲しい
- 子供同士で、練習のルールを決め切れないので、仕切ってほしい
- 試してみたいことがあるから、見守って、時々アドバイスしてほしい
- 怒らないで、自分たちの現状を、ストレートに認めてほしい
手法に意味があるのではなく、本音に意味がある
この記事を読んだかたは、きっと明日から、『サングラスを外して語り掛けよう』とか、『選手に話すときは、腕組みをしないようにしよう』とか、『●●さん、●●くん』と呼ぼう、と少しずつ、感じてくださっていることと思います。
それは、非常に素晴らしい第一歩なのです。
そして、その具体的な努力の先に、心底目指していただきたいのは、
『俺の、私の感情や理想よりも、選手1人1人の目標や、課題や、性格を、とにかく一生懸命理解したい。俺は、私は、この子の”今”が大好きなんだ』
という、選手1人1人への、暖かい愛情を、具体的な指導に体現できる、という状態なんです。
執筆:田村恭佑
(人間関係メンター×弁理士×経営コンサル)