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1回きりのハラスメントでも命取りな3つの理由

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「これは確かにハラスメントに該当するでしょう」という行為は、2,3回でやっと問題視される、のではなく、1回で基本的にはもうNGです。その理由を3つの観点から、考察します。

「ハラスメント」にとても敏感な世の中ですね。何でもかんでもハラスメントに当てはめよう、という動きには賛同できませんが、ただし、「これは確かにハラスメントに該当するでしょう」という行為は、2,3回でやっと問題視される、のではなく、1回で基本的にはもうNGです。

1回でもハラスメントをしたら、加害者はやり直しが利かない、ということですね。

どうしてなのでしょうか?

その理由を3つの観点から、考察します。

ハラスメントとは具体的に?

最近は、様々なハラスメントがあるので、読者の方々にとって、この記事ではどういうハラスメントを想定しているか、お示しします。

  1. パワハラ
    (パワーハラスメント。上下関係を利用して精神的苦痛を与える)
  2. セクハラ
    (セクシャルハラスメント。異性や同性に、性的な言動により精神的苦痛を与える)
  3. モラハラ
    (モラルハラスメント。DV。いじめ。”言葉”などで精神的苦痛を家族などに与える)
  4. アカハラ
    (アカデミックハラスメント。学内の地位を利用して、学生や研究者に精神的苦痛を与える)
  5. 体罰
    (言葉ではなく、暴力や罰などにより身体的に学生などに苦痛を与える)

 

どういうシーンで起こりうるか。

この記事の範囲とする上記に挙げたハラスメントは、人の社会活動で広く起こりうる、と言えます。

  1. 学校
    (いじめ、暴言、体罰、アカハラ、セクハラ)
  2. 職場
    (パワハラ、セクハラ)
  3. 家庭
    (モラハラ)
  4. 部活/クラブ活動
    (パワハラ、いじめ、体罰)
  5. SNS
    (活字によるいじめやモラハラ)

 

形式の罰だけが罰ではない。

例えば職場ハラスメントをすると、度がひどいと、設けられた窓口に匿名などで通報され、その後、上層部で審議され、加害者へのヒヤリングなども踏まえ、訓告、異動、減俸、停職、などによる懲罰がなされることもあります。

また例えば高校で、体罰をしてもやはり、設けられた窓口に保護者などから通報があり、その後、校長・教頭・学年主任などで審議され、加害者へのヒヤリングなども踏まえ、やはり懲罰がなされることもあります。

一方、軽度であったり、双方に言い分があったりすると、懲罰には至らず、注意喚起程度で終わることも多いでしょう。組織もおおごとにはしたくないでしょうから。

では、懲罰に至らなかった場合、加害者は、社会的制裁が一切なかったと言えるのでしょうか。

私は、そうは考えません。

匿名であっても通報されるようなケースではほとんどの場合、噂が、学内や社内に出回っています。通報者(多くの場合、被害者)が意図的に噂を流すこともある(できる)でしょう。

通報まで至らなくても、ハラスメントや体罰を1度でも受けた被害者は、加害者に対して二度と本心から心を許すことはないのではないでしょうか。

このように、形として懲罰に至っていないから、ハラスメント加害者は罰を免れていると考えるのは安直でして、1回でもハラスメントをすることにより、特定の誰か、もしくはその事実を見聞きした不特定多数の方々、これらの方々は、その加害者を再び信用することは、きっとありません。

形式的ではなくても、実質的にも、取り戻せない程度の、大きな社会的制裁を職場や学校などのコミュニティにおいて、受けることとなります。

 

1回でもNGな3つの理由

どうしてハラスメントは、たったの1回でも、NGなのでしょうか?

私はその理由を3つ挙げたいと思います。

(1)その人の”本性”だと見抜かれるから

前にも記事に致しましたが、ハラスメントをしてしまう人というのは、理性の堤防が低いかた、感情のコントロールが苦手なかた、と言えます。
(2019年2月22日執筆「つい感情的に、、いいえ、それがその人の本音です」)

つまり、ハラスメントをしてしまう人は、つい出来心なんかではなく、それが”本音”であり、”本性”なんです。

例えば、普段いつもニコニコして穏やかに授業を進める先生が、ある日1回だけ、大声で特定の生徒を怒鳴りちらした。

こういう時、その生徒や周りの生徒は、

『あぁ、あの先生は、本性では私たちのことを、そういう風に見下しているんだな』

と、たったの1回の怒鳴りであっても、その衝撃もあいまって、強く印象を持ちます。

あらゆるハラスメントでも一緒です。

つまり、1回だけ、そのハラスメントをしたと言っても、被害者やそれを知った人は、

『あの人の本性は、そういうものなんだな』

と、認識します。

実質的に、社会活動を共に出来る安全な人、という枠組みから、除外されるわけですね。

(2)ハラスメント1度で心的外傷後ストレス障害にも

心的外傷後ストレス障害のことを、PTSDと言いますね。

これは、例えば大震災に見舞われた方々が、その恐怖から、しばらく、夜もうなされてしまう、このようなストレス障害が該当します。

このPTSDは、『生命の危険にさらされる』と、患いやすいと言われています。

生命の危険、というのは何も、ナイフを胸に突きつけられるような極端な状況だけで、感じるわけではありません。

その人にとって、「安住の生活」が脅かされることもまた、「生命の危険」に当たります。

せっかく慣れ親しんだ職場で上司からセクハラを受けた、
一生懸命取り組んでいる大好きだったはずの部活で、体罰を受けた。

たった1回のこういう被害だけでも、感じ方によっては、PTSDを患う可能性はあります。

特に昨今は、ハラスメントに対して世の中の目が厳しいため、1回のハラスメントでも、受けた当人は相当な衝撃を受け、精神的な苦痛は甚大なものとなります。

言わずもがな、たった1回のハラスメントであっても、その1回で、1人の人生に甚大な被害を及ぼすとしたら、、その1回は取り返しのつかない行為と言えますよね。

 

(3)ハラスメントは他人の人権侵害だから

最後に、人は赤ちゃんからお年寄りまで、そして男性・女性関係なく、等しく、

”自分の人生を安全に生きる”権利があります。分かりやすく言えば、”人権”ですよね。

どんな立場の人であっても、他人の身の安全、安住の生活、人権を侵害できる権利はありません。

体罰であれば傷害罪、セクハラも形態によっては公然わいせつ罪、と罪名が付くものは立派な犯罪ですので、もちろん1回でもNGであるのは言うまでもありませんね。

しかし、「他人の人権を侵害する」という行為は、たとえ罪名がつかないものであっても、立派な”不法行為”であり、当然1回でもNGです。

 

ハラスメントを受けそうなとき、受けたとき

最後に、この記事を読んでくださったあなたが、実際にハラスメントを日常的に受けていたり、ハラスメントの危険を感じていたり、お子様がパワハラや体罰に苦しんでいたり。

そういう場合、どんな行為を取るべきなのでしょうか。法律的な観点というよりも、人間関係や精神的な回復という観点で、最後に提案させていただきます。

(かく言う私も、中学の野球部で体罰を受け、新卒の職場と最後の転職先で、パワハラに苦しみました。組織というのは、冷たいものです。立場の強い人を守ることが多いです)

 

  1. 受けたのが1回でも被害は被害です。信頼でき、そしてあなたの相談を一蹴しない人に、まずは相談しましょう。
  2. ことを荒立てたくないようでしたら、正式な相談窓口に通報しなくてもいいと思います。通報したら、そのこと自体がまたあなたに大きなストレスをもたらす場合も往々にしてあります。ですので、ハラスメントの相手と、いかに距離を取るか、を周りと相談しながら、講じていきましょう。
  3. もし、正式な相談窓口が設けられていて、通報したい、という場合、具体的な被害(相手の言動、日時、場所、その後の精神的な被害、第三者の証言など)を、活字に書き留めておきましょう。それから通報したほうがいいと思います。被害が繰り返しでなく1回であっても、臆することはありません。
  4. もし、その環境を離れてしまうことが出来るのであれば、自分が離れるのは悔しいと思うかもしれませんが、精神的な苦痛を長引かせるよりも、安全な環境に自分を移す、ということも、選択肢に入れていいと思います。
  5. 最後に、日ごろのちょっとした心がけで、再び穏やかな精神を取り戻すことは可能と考えます。時々、あなたの味方として話を聴いてくれる人に話を聴いてもらい、1人で出来ることとしては、マインドフルネスの一種ですが、自分の深い呼吸を毎日10回でも、身体のすみずみまで呼吸が行き渡る実感を感じながら、深く、ゆっくり深呼吸をする習慣を作ってみましょう。1日でも、ずいぶん心が穏やかになっていきます。それを繰り返すと、きっと穏やかな精神を取り戻すきっかけになると思います。

 

 

今回の考え方は、

『あなたが”安全”に生活する権利は、誰にも侵害できない』

と名付けましょうか☆

 

執筆:田村恭佑
(人間関係メンター、弁理士、経営コンサルタント)

 

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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