＜ニュース概要＞
札幌の中古車販売業者が、自社のネーミングが、「ヒカカク」という比較サイト内に、勝手に使われており、そして、事実と異なる口コミを掲載されてしまっている、として、その掲載差し止めを求めて札幌地裁に提訴をした事件。札幌地裁は、「ヒカカク」を運営する企業の「商標権侵害」を認め、掲載削除の命令をし、物議を醸している。
鈴木えりな
『ありそうで無かった裁判命令ですよね？』
たむきょん先生
『そうだね。つまり、よくメーカーや業者の”口コミ”を募って、比較できるようにすることで、そのサイトの比較サイトとしての優位性を得ているようなサイトは、最近とても多く見受けられるけど、その比較のためには当然、メーカー名、ロゴ、業者名などを掲載しなければ、サイトのユーザーは比較できないよね。今回の札幌地裁の命令は、そのような”比較口コミサイト”の在り方に、一石を投じたものだと感じるよ。』
鈴木えりな
『うーん。ちょっと違和感を感じるのは私だけかなぁ。だって、そういう比較サイトが、もし正式に業者名を列記したかったら、全ての業者から”許諾”を受けなければいけない、ってことになるんだよね？もしくは、業者名をマスク（分からなく）するとか、、現実的じゃないと思います・・』
たむきょん先生
『色々と勉強してるね～。そうだよね、そういうことになるよね。』
鈴木えりな
『先生はどう思いますか？』
たむきょん先生
『まず、地裁の判断だという点は十分に考慮しなきゃいけないよね。本当は、知財の専門的な裁判であれば、”知財高裁”というもう１つ上の上級審の判断を得ることになるからね。きっと、商標権だけではなく、名誉棄損とか、不正競争防止法とか、色々な観点で提訴をして、札幌地裁なんじゃないかな、と勝手に想像します。』
鈴木えりな
『っていうことは、先生は、結論が覆る可能性が十分にある、とお考えですか？！』
たむきょん先生
『ちょっと調べたんだよね。まずGoogle検索で、「ヒカカク」と入れたら、以下のような検索結果。どう思う？
鈴木えりな
『え、ニュース記事では、聞いたことのない企業がヒカカクの運営元だと思ったけど、あの有名な価格ドットコムと同じ会社が運営してるってこと？？』
たむきょん先生
『やっぱり、そう感じるよね。僕も、直感的にそう感じたんだ。でもね、ヒカカクを運営する企業は若手ベンチャーで、価格コムの運営会社の子会社でも何でもないみたいだよ。ついでに見てみる？Googleで価格コムで検索した結果が以下。』
鈴木えりな
『たまたま似てるっていうより、もはや、わざと似せてる感じが・・』
たむきょん先生
『僕も全くそう思った。僕は知財の世界で長く生きているので、”正義や真実はどこにあるのか”という観点で、いつも問題を眺めるようにしているよ。』
鈴木えりな
『正義や真実はどこにあるんですか？(笑)』
たむきょん先生
『自社のサイトやサービスに絶対の自信があって、自分たちの知的財産で売れっ子サイトになるんだ、金儲けするんだ、という強いプライドがあったら、本来、こういうわざと似せるような”せこい”やり方は、しないような気がする。日本の高度成長や知財立国化を支えたのも、そういう知財に対する強いプライドが根底にあったんじゃないかと思う。』
鈴木えりな
『なるほど、なんか急に熱くなってきましたね、先生(笑)』
たむきょん先生
『・・・汗 えっと、僕は、”比較口コミサイト”での、ロゴやブランド名の掲載、という部分では、”商標権侵害”に当たるかどうかは、消極的な意見です。なぜなら、商標というのは、そのロゴ等の掲載により”顧客吸引力”が発揮されているかどうか、が大切なポイントだと思うから（≒消費者が、そのロゴを目印に買い物をするかどうか）。比較サイトは、決して、掲載ロゴの１つを見て、”あ、このサイトは、○○というロゴの企業が運営しているのね”とは、消費者も勘違いしないでしょ？』
鈴木えりな
『そりゃそうですね。』
たむきょん先生
『だけどね、知財侵害で、訴えられる個人や法人は、どこかに、知財に対してのモラルの低さや、知財への姿勢が、出てしまっているケースが多い気がするんだよね。鳥貴族に訴えられた、鳥二郎？にも、同じ感覚を覚えたけど。（いずれ記事にします）今回、少しでもこのニュースが話題になれば、消費者から冷ややかな目で見られるのは、、残念ながらヒカカク運営元ではないかと感じるよ。ただし、まだまだスタートしたばかりだから、これからあっという間に挽回して、伸びていく企業なんだろうけどね・・（おじさんなんかを飛び越して・・）』
end
<ニュース出典：http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160921/k10010702051000.html
画像引用元：http://hikakaku.com/ ＞