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連載(3) 大学教職員向け THE 産学連携!『”URA”が活躍する王道』

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大学・研究所の研究者のかたや産学連携を担当する事務のかたを対象として、『大学の方針の違いがあっても、共通する原理』に値するような情報発信を、連載で行ってまいります。
今回は第3回目、『”URA”が活躍する王道とは?』という内容です。

私は、約5年間、知的財産と産学連携のマネジメントを大学&研究所の中で担当させていただき、その後、弁理士事務所を経営し、5年経ちます。

大学は、その大学の産学連携の方針や”温度”がマチマチなため、なかなか、情報交換をしあって、適切な産学連携の推進ができる、というわけではない、特有の苦労があります。

そこで、多くの大学様の産学連携の推進のサポートをさせていただいている経験から、少しでも、

『大学の方針の違いがあっても、共通する原理』に値するような情報発信

をできたらと考えています。

『大学教職員向け THE 産学連携!』連載第3回目です。今回は、

『”URA”が活躍する王道とは?』

です。

(第1回 『収入や研究費は得られるか自問を』 こちら

 第2回 『産学連携の課は”警察犬”にならないようにしたい』 こちら

※なお、私の記事で「大学」と言った場合、研究所、研究機関も含んだ考え方とします。

 

そもそも『URA』とは?

『URAって、最近大学ではよく耳にしますが、何でしょうか?

『簡単に言うと”大学の先生の研究活動のサポーター”という意味です。』

  • URA=「University(大学) Reseach(研究) Administrator(管理者)

 

どういうニーズ(必要)から、大学がURAという人材を設置・育成するようになったのでしょうか?』

『ポスドク(博士取得後の若者)の、キャリアパスの1つ、という考え方もありますが、大学にとってのニーズは、主には以下です。』

  1. 大学の”研究力”に、社会の期待が高まっている。教育成果だけではなく、研究成果や社会還元も、大学は求められるようになっている
  2. そういう気運の中、大学の事務職員は必要な事務を担う役割であり、”自由度”の高いポジションは少なかった
  3. 大学事務職員の多くは、専門的な知識を磨くことよりも、事務全般を担う素養を身に付けることが求められるが、それだけでは、先生の研究の支援は担いきれなかった
  4. そこで特定の専門領域における知識を持っているかたを採用し、”研究活動を主にサポートする”役割として配置するようになった

 

 

 

こういう大学が実は多いのでは…

『なるほど。
文科省のHPを見ると、文科省として大学にURAを配置していこう、という取り組みを始めたのは平成25年頃からのようですね。』

『そうみたいですね。』

『7年目に入るので、各大学に、ずいぶんURAの配置が定着した頃でしょうか。ある程度、URAの重要性を各大学が認識しているのではないでしょうか。

『そうだと嬉しいのですが、おそらく、残念ながら、多くの大学で、”URA”を的確に配置し、そのURAが、大学の研究成果の創出や社会還元に大きく貢献できている、という状態には、まだ至っていないのではないでしょうか。

『え?どうしてですか?各大学にとって、URAの活躍に対して、どういう点が、弊害となっているのでしょうか?』

『大学の規模や、研究成果発信への熱意、そして研究支援への予算組み、などにより、かなり事情は異なると思います。
ただ、多くの大学は、以下いずれかの弊害によって、URAの活躍による、研究成果の社会還元が想定通りにはいっていないのではないでしょうか。

  1. その大学にとってのコアコンピタンス(他大学と差別化できる)となるような研究の見定めが、大学経営陣の段階で、うまくいっていない
  2. 少子化により大学受験者数の減、というのが現代の大学にとっての緊急課題であり、「研究力の強化」は大学経営陣にとって二の次、三の次になっている
  3. 研究支援を担当する大学職員は3年程度で、他部署に異動するため、体系的な教育制度を設けられておらず、また、中期的な研究支援体制を構築しづらい
  4. 大学の教員の方々の研究領域は、あくまで学術的にとどまるものが多く、マーケットニーズを見据えた研究領域設定を、戦略的に行えている大学は少ない
  5. 大学の中で、各教員に分配する”基礎的な研究費”が年々削減されており、研究活動が制限的になっている(文科省からの補助金の減などに起因)
  6. URAという役職が、あくまで任期付き(契約職員)であり、特定の研究領域を持つ優れた人材が、就職先としてURAを選びにくい。キャリアパスとしての魅力に欠ける

 

URA設置は目的ではなく”手段”

『そうなんですね・・・
大学の規模などで、色々な事情の違いはあるとは思いますが、そういう制約条件を抜きにすると、いったい、大学にとって、どんなURAの在り方が理想なんでしょうか?

『えっと、どんなURAの在り方が理想か、という考え方よりも、まずは大学にとって、どんな研究成果の発信が理想か、という大上位概念から、考えたほうがいいと思います。

その上で、その理想の研究成果の発信に、URAがどう寄与できるか、という順番じゃないかと。

つまりURAの設置は目的ではなく、”手段”なんですよね。

まず、以下に、えりなさんがおっしゃるように、制約抜きで、”こんな研究活動の組み立てができたら良いのではないか”ということを箇条書きします。

(もしこの記事を、大学経営陣の方々がお読みになるようでしたら、失礼がありましたら申し訳ありません。私も一緒に色々な大学様と研究戦略を試行錯誤している同志ですので、どうぞお許しください。)』

  1. イ、ロ、ハに、その大学の研究テーマ(研究室))が分類されている
     イ その大学にとってコアコンピタンス(差別化要因)になりうる研究テーマ(約15%)
     ロ 研究テーマは差別化とまではいかないが、学内の研究室の社会還元へのマインドが高い(約35%)
     ハ それ以外の研究テーマであり、今は教育活動に特に従事していただく(約50%)
  2. 全ての研究者には”部長”に当たる上司が居て、全ての研究者と部長の間で2~3年間での研究テーマ(イ、ロ)がすり合っている
     イ 完全に自由に、興味のままに進めたい研究テーマ(エフォート50%)
     ロ 大学のブランド価値を高めることに大きく貢献できる可能性のある研究テーマ(エフォート50%)
  3. 研究者のかたの人事評価制度が整備されており、以下2点(イ、ロ)も、大きく考慮される
     イ 研究成果の社会貢献度合い
     ロ 研究成果の公表(量、質ともに)
  4. 学内の基礎的な研究予算は、50%が公募制であり、大学にとって極めていきたい研究テーマに、より多くの予算を分配する
  5. 研究活動による収入(共同研究費、受託研究費、研究助成、寄付金、学術指導、ライセンス収入など)を可視化し、大学の教職員のほとんどのかたが、その数値を、認識している
  6. 上記のような研究発展の路地が整った状態で、研究支援部門は、「事務部門」というよりも70%「営業部門」のような風土に育てあげていく
  7. URAは、その「営業部門」の中で、最も担うべき役割を課長とすり合わせて、一点集中で、その役割を担う
  8. URAというキャリアパスを、大学の専任職員の1つのキャリアパスとして、永年雇用も進めていく(国家公務員でいう技術職員のような)

URA活躍の王道

『たむきょんさんがおっしゃっていることが、少しずつ、理解できているような気がします。

最後に、、制約抜きで、上記を実現できるとして、果たして、URAが活躍するためには、どのような役割を担ったらいいのでしょうか?

URAを活かすも殺すも、その大学の”研究成果の発信”に対する方針次第であることは前置きをさせていただいて・・
私なりに考える、URAの具体的な役割を、いくつか提案いたします。

それには、その大学が、どういうフェーズにあるのか、ごとに考える必要があると私は思います。

ですので、3つのフェーズごとに、提案いたします。』

(1)大学が、少しずつ研究成果の発信に傾倒し始めている段階

  1. ボトムアップ的に、その大学の研究成果創出とそれによる社会還元のマップを描く、上層部に提案(そのための他大学調査なども)
  2. 前述の「イ その大学にとってコアコンピタンス(差別化要因)になりうる研究テーマ(約15%)」を見出し、その先生方との信頼関係の構築
  3. その先生方に適した競争的研究費の獲得の支援。
  4. その先生方には、研究成果のマーケットニーズという観点からの調査・エビデンスの提供(なるべく肯定的な視点で)

(2)ある程度、大学にとってのコアコンピタンス研究テーマが見え始めていて、獲得研究費を増やしたい

  1. コアコンピタンス研究テーマに携わる先生方との信頼関係構築、定期的なミーティング
  2. その先生方にふさわしい競争的研究費の情報収集、獲得支援
  3. 先生方から具体的な研究テーマについて提案を受けたとき、持ち帰って、「マーケットニーズ」という視点から情報収集をし、先生に情報提供をする(なるべく肯定的な視点で)
  4. その先生方の研究に興味がありそうな民間(なるべく中規模以上の)企業へのコンタクトや初回面談の同席
  5. 前述の「ロ 研究テーマは差別化とまではいかないが、学内の研究室の社会還元へのマインドが高い(約35%)」先生方との信頼関係の構築
  6. その先生方にも率先して、競争的研究費の情報提供を行い、協力をする

(3)研究費の獲得はある程度出来るようになってきたため、より大型の受託研究などに取り組みたい

  1. まず年間で採択を目指したいプロジェクトの目標設定をし、URAとして取得支援をするプロジェクトの照準を定める
  2. 大型研究費の取得を目指したい先生方(その大学にとってコアコンピタンスな研究テーマに発展できるほうが望ましい)とのコンタクト、信頼関係の構築定期的なミーティング
  3. 取得を目指す公的プロジェクトの趣旨の理解と、過去の他大学の実績の情報収集。特に、”出口”と言える、社会実装については、先生以上に、情報を集める
  4. 自大学単独で取得を目指すのではなく、複数の企業や大学と共同で取得を目指す場合、”ハブ(拠点)”となって、連絡の窓口を率先して担う。定期的なミーティングやWeb会議のセッティングを担う
  5. 大型プロジェクトは、取得できた後が非常に重要。計画書に宣言した成果に至れるよう、主幹の先生とのコミュニケーションをたやさない。

 

(もし、お読みになった大学のかたで、URA採用・育成・実効的な活躍、これらを目指したい、という大学様は、私は知的財産についてのみだけではなく、産学連携活動全般について、柔軟にご支援いたします。)

 

執筆:田村恭佑
(認知心理学×弁理士×経営コンサル)

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、収益改善・組織作り、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

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