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「マリカー」は本当に任天堂に勝ったのか

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鈴木えりな 『最近ニュースで話題の”マリカー”に関する争いについて、教えてください!』 たむきょん先生 『少し複雑で、結論を言及しづらい事案ですね。まず、ざっくりと、どんなニュースか、ご存じですか?』 鈴木えりな 『えっ...

鈴木えりな
『最近ニュースで話題の”マリカー”に関する争いについて、教えてください!』

たむきょん先生
『少し複雑で、結論を言及しづらい事案ですね。まず、ざっくりと、どんなニュースか、ご存じですか?』

鈴木えりな
『えっと、、、

(1)”マリカー”とは、任天堂の有名ゲーム、”マリオカート”の略称として比較的認知されている
(2)任天堂とは無関係の企業”(株)マリカー”が、”マリカー”を”車両の貸与”の分野で商標取得してしまった
(3)任天堂は登録後2か月認められている”登録への異議の申し立て”を特許庁へ行った
(4)しかし特許庁はその異議を認めず、マリカー社の商標を維持した

こんな感じでしょうか』

たむきょん先生
『その通りだね。今回の争点は、任天堂ではない企業が行った”マリカー”商標の取得が、適切か否か、ということですね』

鈴木えりな
『そして、、任天堂の異議申し立てが認められなかった、ということなので、つまり、このある意味の模倣企業の”マリカー”商標が、正当に認められた、ということなんですよね?これから、このマリカー社は、公道カートのレンタルに堂々と”マリカー”と使っていいことになるんですよね?』

たむきょん先生
『そういうことになるね。ちなみに、任天堂はニュース記事によると、”車両の貸与”の分野で、”マリカー”や”マリオカート”の商標を取得していなかったそうなので、そうすると、異議申し立ては、自社の業務との混同の発生の恐れ(15号)や、不正目的での他人の周知著名商標へのフリーライド(19号)を根拠に、行ったものと考えられるね』

鈴木えりな
『特許庁は、どうして、その、混同の発生のおそれや、フリーライドを認めなかったんでしょうか?』

たむきょん先生
『15号や19号への該当を認めなかった、ということは、ブランド主(任天堂)のブランド名(マリオカート)との類似を認めなかったり、さらに、”マリカー”をブランド主(任天堂)の周知著名表示とは認めなかったり、ということでしょう』

鈴木えりな
『そんな・・だって、”マリオカート”のことを”マリカー”と略するのは、ゲームのファンからすると、けっこう知られている話だと私は思います。しかも、仮に現在進行形で”マリカー”という略称が少しずつ広まっている所だとして、じゃあ、”この略称がまだ著名じゃないけど、これから広まりそうだ!”という早いタイミングで、先取りする行為が、認められてしまう、ということになるじゃないですか!(怒)』

たむきょん先生
『そうだね・・、僕も、15号はまだしも、19号のほうは、将来の可能性も含めて、著名商標へのフリーライドを抑制するような機能を働かせたほうが、より健全なマーケットになっていくと思うんだけどね。よく、判例では”実情を総合考慮”という言葉を使いますが、これこそ、マリカー社が現にやっている公道カートのレンタルは、任天堂マリオカートに登場するキャラクターやカートの真似そのものなので、マリカー社の行っているビジネスという実情”を少しでも考慮したなら、やっぱり、この企業による”マリカー”商標の登録を維持すべきではないと思えてならないよ』

鈴木えりな
『任天堂は今後、どうするんでしょうか??』

たむきょん先生
『任天堂のプレスリリースによると、現在、マリカー社を、著作権侵害と不正競争防止法の違反で提訴しているそうなので、まだまだ”決着”には至っていません』

鈴木えりな

『勝ち目はあるんでしょうか・・』

たむきょん先生
『正規の権利者、ブランド主である任天堂を、応援したくなっちゃうよね。僕も同感だよ。まず、著作権については、冒頭の画像のように、マリオカートを直感させる形で、公道カートをレンタルし、マリオカートに登場するキャラクターのコスチュームもレンタルしています』

鈴木えりな
『カートやコスチュームが仮に正規品だった場合は、その正規品を有料でもレンタルする行為は、著作権侵害には当たらないのでしょうか??』

たむきょん先生
『例えば、正規に販売されたゲームソフトを、中古ソフトとして販売する行為は、一応”権利が消尽している”と言って、著作権侵害には当たりません。でも、正規に買ったゲームソフトを、レンタルする行為は、”消尽”に該当せず、著作権者の”貸与権”の侵害に当たります。カートやコスチュームについても、それらが、原著作物を直接的に感得させる程度のものであれば、やはり”著作物”と言えて、それを正規に買っても、レンタルは出来ないよね』

鈴木えりな
『それなら、著作権侵害は認められるといいですね・・・涙
あと、不正競争防止法の違反については、どうでしょうか?』

たむきょん先生
『前に、教えたかもしれないけど、もし世の中から”商標”という制度が無かったら、ブランド主は、”不正競争防止法”の保護で、何とかブランドの模倣を防いでいくしかないんだったよね』

鈴木えりな
『そうでしたね!覚えています!周知表示(1号)であれば、混同の発生の有無が重要で、著名表示(2号)であれば、混同の発生の有無は問われないんですね』

たむきょん先生
『そうでしたね。商標の登録は維持されましたが、”マリカー”という名称がブランド主の”マリオカート”の略称として周知だと認められ、かつ、混同が発生していると認められれば、違反行為と認定されるかもしれませんね(損害賠償、差し止め、不正目的であれば刑事罰etc.)』

鈴木えりな
『でも、、特許庁には、”非類似”と認められ、混同の有無やフリーライドについて、認めない決定がなされてしまっているんですよね・・?これって、任天堂にとっては不利な材料にはならないでしょうか・・』

たむきょん先生
『うーん、僕はそうは考えないかな。”商標の登録”という観点での判断と、”不正競争の発生”という観点での判断とでは、審判官か裁判官の判断も大きく異なるのではないかと思います。
ここで大切なのは、”実情を総合考慮”することだと私は裁判例などを見ていても思います。ひょっとしたら、、今回の登録の維持の決定は、”この問題は、登録可否の問題としてではなく、不正競争の有無などの問題として、結論づけてください”という風に問題のフィールドをシフトさせる、1つの意図だったのかもしれません』

※ブログ監修の田村(弁理士)は、商標・著作権・不正競争防止法など、知的財産に関する小さな問題点でも相談に乗っておりますので、お気軽にこちらへご連絡ください。
※冒頭の画像は「アクティビティ体験予約Webサイト」より引用

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記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・その他知的財産の面、もしくは収益改善や組織作り等の面で、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

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