
当社には最近「もうすぐビジネス開始予定」というタイミングでの知的財産に関するご相談が多いです。(会社設立や個人事業主としての開業など、さまざま)
私どもが伝える「知的財産」に関する注意点や対策に、各件とも共通点があります。
今回は、起業されるビジネスを、大きく3つに分けて、
『3つのビジネスのタイプ別、起業時に気を付けたい知的財産』
を簡潔に記事にしました。
起業されるビジネスを、大きく3つに分類
『起業されるビジネスを、大きく3つに分類する、とありますが、どんな分類になりますか?』
『例外はあるかもしれませんが、大きくは以下に分類できるのではないでしょうか?
(あなたのビジネスは、どれに該当しますか?)』
- A 既にある良い商品(またはサービス)を活用して、販売(またはサービス)を開始
- B 他の商品(またはサービス)を自社なりにカスタマイズし、販売(またはサービス)を開始
- C 自社独自に商品またはサービスを開発し、販売(またはサービス)を開始
『それぞれ、具体例で教えてください!』
『そうだね。以下が具体例です』
A 既存商品(サービス)の活用ビジネス
例:中国で大ヒットしているタピオカ入りミルクティーの商品を、中国から仕入れて、日本で販売したい
B 他の商品(サービス)のカスタマイズビジネス
例:大学受験のための、有名な動画授業アプリを、自社なりに、カスタマイズして、同様のWebアプリによるサービスを開始したい
C 自社独自開発ビジネス
例:今まであった腰痛のリハビリマシーンでは解決できなかった課題を解決した、自社独自のリハビリマシーンを製造・販売する
それぞれのタイプ別、気を付けたい知的財産
『具体例は、分かりました!
では、それぞれのタイプ別で、気を付けたい知的財産に関すること、教えてください!』
『事例に応じて考慮すべき点はあると思いますが、大きく、傾向は以下の通りです。』
A 既存商品(サービス)の活用ビジネス
- 正規品を仕入れて、そのまま日本で販売する分には、特許権や商標権は、侵害にならない
- 一方、正規品ではない廉価版を仕入れて、日本で販売する場合は、正規品を製造する企業の特許権や商標権などの侵害をしないよう、事前に調べておくとよい(※1)
- たとえ、正規品を仕入れて販売する場合でも、ブランド名の使用を乱発したりすると、やはりそのブランド主から、指摘をされたりする可能性がある
B 他の商品(サービス)のカスタマイズビジネス
- 他のサービスを、どの程度、カスタマイズするか、が重要
- オリジナルに少し変更を加えただけ、の場合、オリジナルの著作権の侵害に当たったり、特許を取られている場合は、特許権の侵害になる可能性もある(※1)
- 商品やサービスの名称は、オリジナルの企業などが、商標権を取得していないか、調査はしておいたがいい(※1)
C 自社独自開発ビジネス
- 自社独自だ、と考えていても、実際は、他社により酷似する商品またはサービスが、特許取得されている可能性はあるため、やはり、特許を取らないまでも、類似する特許がないか、は調査をしておいたほうが無難
- 著作権については、あなたが本当に真似せずに、独自に開発したのであれば、著作権侵害には当たらないため、念のため、「独自に開発したんだ」という過程の証拠資料などを保存しておくとよい
- 商品名やサービス名については、商標を取るか取らないか、未定であっても、あなたが使用する名称が、他社の商標権の侵害に当たらないか、調査はしたほうがいい(※1)
- 独自に開発した商品の試作品や量産を外注する業者に対して、特許の出願前や秘密に保ちたい状態であれば、「守秘義務契約」を交わしたほうがいい(※1)
※1…「この商品は、他社の特許権の侵害をしていませんか?」という”調査のみ”を、当社にご依頼くださっても構いません。1商品であれば3~5万円程度で対応。
商標の調査であれば、1件1~2万円程度。
著作権の場合、調査、というよりも”1対1の比較検討”をご支援します。貴社の製品が、具体的に特定された他社の製品の著作権侵害に当たらないか、の検討です。
守秘義務契約についても、安価にご提供します。お気軽にご相談ください
(問合せフォーム)
特許や商標は、取ったほうがいいのか?
『他社の特許権の侵害にならないよう、注意したほうがいい、というのはよく分かりました。
ところで、そういう場合に、特許を自社が取得したほうがいいのでしょうか?』
『必ずしも、取得をしたほうがいい、ということではないのですが、以下を参考ご判断ください』
- どれぐらい長期に売り出していく商品/サービスなのか。
1-2年程度と考えている場合、わざわざ特許を取らなくてもいい。一方5~10年は、じっくり販売したいものであれば、特許を取って、他社の参入をしづらい状態にしておく、というのも一策
- あとは、費用対効果。1件の特許を取得するために、だいたい総額で70~90万円かかる。その費用を充てても問題ないぐらいの利益を見込めるのであれば、特許取得を考えてもいいだろう
- また、「特許取得済」というように、ハクを付けたい、などの気持ちがある場合、これも費用対効果を気にした上で、権利範囲を非常に制限的にすれば、取得しやすくなるため、特許取得を目指すのも有り
『分かりました!
では、商標は、取ったほうがいいでしょうか?』
『特許が総額70-90万円かかるのに対して、商標は総額で9万円程度で取得できるので(当所)、気軽に検討してもいいかもしれません。以下を参考になさってください』
- 特許と違って、商標は、先に販売していても、後出しで、他社が商標を取ってしまったら、後からでも、自社の商品名が使えなくなる可能性あり(有名になっていれば別)
- 費用対効果。
9万円程度なら支払っても商標を取得して、商品名やサービス名を独占しておく価値はある、と判断すれば、商標の取得は一策
- ただし、気を付けたいのは、例えば「転職支援Webアプリ」など、「サービスの内容を表しているに過ぎない」名称は、商標登録を認めてもらえないため、あくまで、一般的な表現ではなく、しっかりと考え、作られた名称の商標登録を目指したほうがいい(その判断は、当所も支援します)
小さいことでも、気軽にご相談ください(問合せフォーム)
執筆:田村恭佑
(弁理士/経営コンサルタント/人間関係メンター)