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喫茶店の外観を真似するだけで罪?!

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鈴木えりな
『先生!風邪は治りましたか?

少し前のニュースですが、コメダ珈琲店が、自店舗の外観に似ている他店を訴えた件、分かりやすく教えていただけませんか?

たむきょん先生
『こんにちは^^お陰様ですっかり良くなりました。ありがとう。でも目が少しかゆくなり始めたような・・・(花粉症)』

鈴木えりな
『もうちょっと気温が高くなったらきっと毎日外に出たくなくなるんでしょうね・・涙 せっかく暖かくなったらもっと外に出たいのに・・』

たむきょん先生
『本当だよね。花粉症って、罪だよね・・』

鈴木えりな
『ところで、罪、と言えば、12月に、コメダ珈琲が、自店舗に、外観を似せている他店舗を訴えた、というニュースがありましたよね?年末で忙しくってしっかりと理解できていなかったんですが、後でしっかり勉強しよう、と思っていたんです。今日は、あのニュースについて、教えていただけませんか?

たむきょん先生
『おぉ、奇遇だね!僕もしっかりあのニュースについて振り返り、まとめてみたいと思ったので、ちょうど良かったよ!ありがとう』

鈴木えりな
『まず、ニュースの概要をざっと教えてください!』

たむきょん先生
『はい。ニュース自体はこちらを読んでください。
コメダ珈琲の外観は、だいたい想像つくよね?
あのレトロな外観に似せた喫茶店を経営する企業が現れてしまったんだよね。
和歌山だったかな。
それで、コメダ珈琲は、H27年5月には、”不正競争防止法”に基づいて、こちらの模倣企業を相手取って、”外観を変えてください”と仮処分命令申立を、地裁に行っていたんだよね。
それが1年半経って、やっとH28年12月に認められ、地裁からこちらの模倣企業に対して、外観と、チラシ、Webサイト上の外観画像などを変更するよう、仮処分命令が発令されたんだよね。
そのことを、コメダ珈琲が、自社Webサイトで告知して公になった、というニュースだったと思うよ。』

鈴木えりな
『”不正競争防止法”って、時々、耳にしますが、どういう内容に基づいて、仮処分命令がなされたんですか?』

たむきょん先生
”不正競争防止法”、というのは、どういう法律か、簡単にいうと、”日本の健全な経済を維持するために、事業者間での不正行為や不正な競争を防止するための法律”です。
有名なのは、”営業秘密の漏えいをしてはいけません”とか、”産地偽装をしてはいけません”とかですね。ニュースになるよね。』

鈴木えりな
『特許庁などへの登録がベースとなっているのではなく、どちらかというと、”企業の通常の業務”に対して、他社や他人による不正や異常を取り締まるようなイメージでしょうか?』

たむきょん先生
『そうだね。商標や特許などは、特許庁に登録が認められているものがベースになって、それを侵害している者、会社を取り締まるような法律になっているけれど、不正競争防止法は、そういう、登録などが馴染みにくい企業の権利、既得権的なものを、不正行為から守るような、法律です。』

鈴木えりな
『今回、どういう点が、模倣企業は、”不正競争防止法”の違反に当たったんでしょうか?』

たむきょん先生
『コメダ珈琲による告知を読むと、第2条1項を挙げています。これは要約すると、”他人の周知な表示(標章や包装その他営業を表示するもの)を使用してビジネスをし、その他人のビジネスとの間で混同を生じさせる行為はいけません”という内容です。大きくは2つの要件が存在しますね。
1)他人の周知な営業表示を使用してビジネスをしていること
2)その使用により、他人のビジネスと混同が生じていること

鈴木えりな
『つまり、模倣企業は、コメダ珈琲を真似た外観の喫茶店を経営していたようですが、この”外観”が、”他人の周知な営業表示”と認定され、また模倣店の営業自体が、コメダ珈琲の営業と”混同”を生じさせていた、ということなんですね』

たむきょん先生
『そういうことです。不正競争防止法では、この2条1項に該当する行為が行われている場合、”その行為を止めてください”という”差し止め請求”(3条)と、”その行為により発生した損害を賠償してください”という、”損害賠償請求”(4条、民法709条)を認めていて、更に、不正目的でこの行為を行う者に対して”刑事罰”も科すことにしています(21条2項1号)。』

鈴木えりな
『刑事罰って、どんな感じなんですか?!』

たむきょん先生
『まず、経営者個人に対しては、500万円以下の罰金か、5年以下の懲役か、その両方です(21条2項)。
次に・・企業ぐるみの場合は、上記に加えて、企業自体へ3億円以下の罰金が科されるんだよ(22条1項)』

鈴木えりな
『す、すごいですね。特許や商標の侵害の時と、あまり量刑って変わらないんですね。不正競争防止法って、登録を前提にしていないのに、ずいぶん強い法律なんですね。』

たむきょん先生
『本当に強い法律だよね。だって、”登録となっている権利”を認めるのではなく、”すでに周知になっている他人の存在”を前提として、それを真似する行為を取り締まっているんだからね。ただし、刑罰の対象となるかどうかは、真似する行為が”不正の目的”によるものかどうか、も条件として課されているんだけどね(21条1項1号)』

鈴木えりな
『既得権を前提として、それだけ強い刑罰を設けている、ということは、、やっぱり、慎重に裁判所も判断されるんでしょうね・・』

たむきょん先生
『その通りですね。コメダ珈琲は、告知によれば、再三、こちらの模倣企業に対して、まずは外観を変更してほしい旨の警告を行っていたようですからね。つまり、”偶然似てしまっている状態”ではなく、コメダ珈琲の存在を知ってもなお、変更をしなかったので、そういう状況証拠というんでしょうか、そういうものも総合的に判断されたんでしょうね。仮処分って、スピードが求められるところ、提起から1年半かかってやっと認められていることからも、裁判所が慎重に判断をしたことが伺えますね。』

鈴木えりな
『地裁は、どのように判示?しているのでしょうか?』

たむきょん先生
『ニュース記事をいくつか読むと、
「ほかの同種店舗と異なる顕著な特徴を持ち、消費者にもコメダ珈琲店の特徴が広く認識されている」
「あまりに多くの特徴が類似している」
と、コメダ珈琲の周知性と、模倣企業による混同の発生を認めているようです。

鈴木えりな
『たむきょん先生は、妥当な判示だと思いますか?』

たむきょん先生
知的財産というのは、必ずしも、形あるもの、登録となっているものだけではないと、私は思うし、多くの弁理士は同じように考えていると思います。
今回、コメダ珈琲が、長年に渡って、少しずつ消費者に認知されていった、そのブランド力(のれん力)は、1000万円出しても、1億円出しても、そうそう手に入るものではありません。

この”のれん力”こそ、登録以上の、真の”知的財産”だとも思うんです。

そう考えると、そののれん力にタダ乗りをして、”周辺住民からは、何となくコメダ珈琲と同じような飲食が出来るんでしょう”というイメージを勝手に獲得しようとする行為は、コメダ珈琲が長年に渡って少しずつ得てきた消費者の信頼を踏みにじるような行為だと言って間違えありません。』

 

鈴木えりな
『おっ。風邪が治って、久々の熱い語りですね。』

たむきょん先生
『これを見てください。1つ目が、模倣企業のWebサイトでのメニュー画像です。2つ目がコメダ珈琲のWebサイトのメニュー画像です。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木えりな
『外観を変更しても、、メニュー構成は、なんだか似ていますね。こういう姿勢が、裁判所にも伝わっているのかもしれませんね・・』

※なお、コメダ珈琲は、この騒動を受けてか、昨年2月に、自店の外観そのものを商標出願し、5月に登録が認められています。外観を”商標として”活用している、という主張は認められにくそうにも感じますが・・
※冒頭の画像および最下部は、珈琲所コメダ珈琲店Webサイトより引用
※上記2つの画像のうち、上部の画像は、マサキ珈琲店Webサイトより引用

end

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・その他知的財産の面、もしくは収益改善や組織作り等の面で、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

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