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モンスターボールの模倣商品はNG?模写でもNG?

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こんにちは。商標・著作権・知財契約などを専門としている、弁理士の田村(たむきょん)です。 さて、2年前に執筆した「モンスターボール型の充電器の模倣品」に関する記事ですが、2年間ずっとこちらの記事に多くのアクセスをいただい...

こんにちは。商標・著作権・知財契約などを専門としている、弁理士の田村(たむきょん)です。
さて、2年前に執筆した「モンスターボール型の充電器の模倣品」に関する記事ですが、2年間ずっとこちらの記事に多くのアクセスをいただいており、関心の高さが伺えますので、2年経ち、再度読みやすく記事を書き直します

モンスターボール型の模倣商品

『ポケモンGOの流行があって以来、モンスターボールって、ポケモンをしない人たちにも、とても印象に残る模様・形状ですよね!模倣品って、どんなものがあるのでしょうか?

2年前にAmazonで、”モンスターボール”と検索すると、それはそれは、たくさん模倣商品が出てきましたしかし、今朝、改めて検索すると、きっと任天堂や関連会社の継続的な努力の甲斐あってか、ほとんど模倣商品はAmazonでは販売されていませんでした。2年前に任天堂が発表した、模倣商品の一覧を以下に転記しますね!(任天堂HPより引用)』

模倣商品の実例

モンスターボールは知的財産と言えるのか

『うわっ・・商品に”モンスターボール”と書いてなかったとしても、これらの商品を見たら、モンスターボールを模倣してるんだな、って消費者は気付きますね・・』

『そうだね。
えりなさんは、モンスターボールって、知的財産に当たると思いますか?

『えっ・・・これが、ミッキーマウスなどの模写なら、知的財産だ、著作物だ、って断言できるのですが、モンスターボールかぁ、、、著作物と言っていいんでしょうかね・・

『ミッキーマウスのぬいぐるみを、無関係者が勝手に販売していたら、確かに、はっきりと、”著作権の侵害だ”と言えますよね。でも、モンスターボールだから、なんとなく、模倣しちゃう業者は、”著作物にも当たらないだろう”と、つい、模倣商品を作ってしまった可能性はありますね。』

『答えを教えてください!』

①著作物
”思想や感情を、創作的に表現したもの”であれば全て著作物に当たります。モンスターボールも、立派な”著作物”です。複雑なデザインよりも、単調なデザインで、それでも人の記憶に残るもの、というのは、複雑なデザインのものよりも、創作性は高いのではないか、と私は考えます。

②登録商標
そして、今朝調べたのですが、モンスターボールの模様・形状そのもので、任天堂は、商標登録もしていました。ゲーム、電子機器、紙製のおもちゃ、遊具、これらの分野で、商標登録しているので、モンスターボールの見栄えを、”商標”のように使う場合、つまり、モンスターボールを目印にして、買ってもらおうという行為は、商標権の侵害に当たる可能性があります。(ちなみに、”モンスターボール”という言葉そのものも、任天堂は商標登録していますので、その言葉を、商品に含ませても、商標権侵害に当たります)

③不正競争防止法の保護
付け加えて言いますと、不正競争防止法という法律があります。2条1項1号では、他人の商品の表示として、需要者に広く認知されているものの模倣や販売を、”不正競争”の行為と位置付けています。つまり、モンスターボールは、不正競争防止法の保護対象とも言えます。』

 

NGな行為

『モンスターボールは、立派な知的財産だったんですね。。あの、どんな行為をしたら、任天堂ほか正当な権利者に迷惑をかけたり、または日本の法律で罰せられたりするのでしょうか?

”知的財産権の侵害”という行為すべて、NGな行為と言えますが、これは”正当な権利者の許可なく、無断で、他人の知的財産にまつわる商品を販売や製作する行為”です。』

具体例で教えてください。』

以下は全て、控えたほうがいいでしょう。(権利者から許諾がある場合を除き)

  1. モンスターボール型のお菓子を製造・販売する
  2. モンスターボール型のアイテムが登場するボードゲームを製造・販売する
  3. モンスターボール型の電子機器を、製造・販売する
  4. 上記1.~3.を、有料ではなく、無料で、配布する行為もNG

 

任天堂が特に問題視している点

『販売元が、任天堂やポケモン関連企業でなければ、消費者は、正規品と模倣品を区別して考えてくれそうな気もしますが、任天堂は、どういう点を問題視しているのでしょうか?

とても良い質問ですね。
単に、任天堂は自社の売上が減るじゃないか、自社の評判が落ちるじゃないか、という目先の利益を心配しているのではありません。先ほどリンクを貼りましたが、こちらの任天堂からの注意喚起の記事を読むと分かるのですが、無断で販売する業者の商品が、粗悪品であり、例えば、発火する、とか、すぐに壊れてケガをする可能性がある、とか、スマートフォンの充電器だった場合、スマートフォン自体への悪影響がある、というような場合を心配しています。
モンスターボールという、消費者を引き付ける力(顧客吸引力、といいます)を持った品で、悲しい思いをする消費者を減らしたい、という視点を強く持っていると感じます。』

 

子供が模写することもNG?

『最後に・・例えば子供が上手にモンスターボールの絵を書いたり、その絵をどこかに掲示したり、運動会で手作りの看板に、モンスターボールの模写を挿入したり、ということって、きっとよくあることだと思うのですが、こういうのも、止めたほうがいいのでしょうか?』

”程度問題”ですよね!
その運動会の日だけ、手書きのモンスターボールやピカチュウを看板に書いて掲示したり、例えばモンスターボールにそっくりな手作りのクッキーを作ったり、それぐらいなら、問題視される可能性は低いでしょう。
一方で、例えば地域の祭りをTwitterやインスタなどで宣伝する人が、モンスターボール型のクッキーの写真を撮って、”当日は、100個限定で、モンスターボール型のクッキーを販売しています!”などと、Webを通じて宣伝したり、個数もずいぶん多いですし、この程度の行為をしてしまうと、やっぱり、問題視される可能性は高まりますね。』

『わかりました!!』

(冒頭のアイキャッチ画像は、Amazonより引用。ただし模倣品を含むため、商品が削除される可能性が高い)

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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