年間約50社様より、商標登録に関する何かしらのご依頼をいただいている、弁理士の田村です。
2019年に入り、商標登録の申請後、『その後、審査結果はどうなりましたか?』と、お客様から問合せをいただくケースが増えています。
なぜかと言いますと、『商標登録の審査期間が、やたらと長くなってしまっている』からです。
申請から登録まで、12か月もかかるとか・・。
今日は、そのことについて記事にし、そして、少しでも早く審査結果をもらうための裏技などを簡単に記します。
2019年、2020年。商標は申請から登録まで何か月かかるか?
ただ、商標自体の審査の前に、書類の不備がないか、という細かいチェックがなされますので、不備がある場合、1ヵ月、2ヵ月、と更に審査に時間を要することになります。
なお、分野の違いについて、特許庁の正式な発表を以下、引用します。』
(特許庁HP「商標審査着手状況(審査未着手案件)」より抜粋して引用)
※正確には、審査に時間を要している、のではなく、”審査の順番待ちをしている”期間が長いことになります。この記事では、順番待ちの期間も含めて、申請完了から、審査結果が届くまでを、”審査期間”と呼んでしまうことにします』
2~3年前より審査期間が長くなっている現状
これは、申請の際に、当所は、”だいたい〇月頃に、審査結果が届くと見込んでいます”とお伝えしているものですから、その実績上からお伝えしている見込みから、ずいぶん遅れてしまうようなケースが増えている、ということを意味しています・・』
<過去6年間の商標登録の出願件数推移(月次)>
(特許庁「特許出願等統計速報」より抜粋して引用)
少しでも早く商標の審査結果を知る方法はあるか?!
なお、特許庁に対して、「審査状況伺い」という問合せも可能です。2019年に入って急に審査状況伺いをご依頼いただくケースが増えました・・・。』
(1)ファストトラック制度(約2ヶ月の短縮が可能)
最近の当所が代理させていただく商標登録の案件のうち、約90%は、このファストトラック制度を利用しています。
これは、例を挙げて説明しますね。
例えば、えりなさんが商標登録を得たいものが、ノートパソコンの新ブランド名「ラモード」だとします。
商標登録出願の際には、「ラモード」という商標と、「ノートパソコン」という”商品名”とを記載しなければなりません。
この時、”ノートパソコン”ではなく、特許庁が推奨している商品名のみを使用するんです。
実際、”ノートパソコン”は、特許庁の推奨する商品名だと、”電子計算機”(9類)となります。
これは、こちらのページで探すことができますが、多くの場合、弁理士と相談して、ギリギリまでたくさんの商品名を列記することが、より強い権利を取得することに繋がると考えます。
手続上、特許庁の審査官に、上記の通り、特許庁が推奨する商品名(サービス名)であることが認められると、12ヵ月程度かかる審査期間が、10ヵ月程度に短縮されます。
これを、”ファストトラック制度”と言います。
(2)早期審査制度(申請から約2ヶ月間で審査結果が届く)
2つ目には、「早期審査」の申請を行うという方法も考えられます。
これは、”すでにビジネスに使い始めている商標だから、すぐに審査結果を出してください”と特許庁に事情を説明する、という方法です。
”間もなくビジネスに使い始める計画”というケースでも認められます。
この早期審査が認められるには、いくつかの条件がありますが、最もオーソドックスな条件の組み合わせを説明します。
- 商標登録出願した”商標”を、現にビジネスに使用開始しているか、使用開始の準備をしていること
(その証拠を提出できること) - ファストトラック制度同様、商標登録出願の際の”商品名”や”サービス名”を、特許庁が推奨する商品名・サービス名のみで構成している
必ずしも認められるわけではありませんが、もし、特許庁が、上記の事情説明に納得してくれた場合、商標登録出願から、約2ヶ月で審査結果を得ることも可能です。
なお、もし、1度で認めてもらえなくても、再度、書類を訂正して出し直したら認めてもらえることもあります。
(少し細かいですが、上記1.2.の他にも、早期審査が認められる条件はございますので、こちらの特許庁のページを参照ください)
商標登録をご検討のかたへ
ただ、これも前述の通り、審査結果を得るまでの期間を少しでも短くするための工夫は色々とあります。
ぜひ経営者様やご担当者様お一人で悩むことなく、少しでも早く、当所にご相談いただければ幸いです(こちら)。柔軟に、ご相談に応じますので。』
執筆:田村恭佑
(認知心理学×弁理士×経営コンサル)