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商標登録の4つの動機ごと、「ロゴ化」の考え分け

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商標登録をご希望のお客様に、「ネーミングだけでは登録が難しく、”ロゴ化”をご検討ください」とご助言することがあります。
今回は『商標登録の4つの動機ごとに考え分けるべき、”ロゴ化”の方針』について、記事にいたします。

弁理士として商標登録のご相談を日々いただいています。

その中で、例えば、英語専門の塾の名称として「スタディイングリッシュ」のように、「サービス内容そのもの」をサービス名としているようなケースでは、

  • ネーミングだけでは登録を得ることは難しい
  • そのネーミングをロゴ化することで登録を得られる可能性がある

とご助言することがあります。

この”ロゴ化”は、どういう方針でお客様が考えればいいのか、いつもご質問いただくことです。

そこで今回の記事では、

『お客様の商標登録の4つの動機ごとに、考え分ける”ロゴ化”の方針』について、記事にしたいと考えています。

 

商標登録を希望されるかたに、最も重視していただきたいこと

『第一に、商標登録を検討する企業や個人が全てに共通して、大切にしたほうがいいことって何でしょうか?』

『そうですね、まず冒頭にそのことを伝えましょう。商標登録を検討するにあたり、どんな話し合いになっても、弁理士から助言や指摘を受けたときでも、いつも念頭に置いていただきたいのは、たった1つのことです。それは、

「あなた(貴社)は、どうして、商標登録をしたいと考えたのですか?商標登録をしないと、どういうご不安や問題があるのですか?」

ということです。 今回も、その”動機”を4つに大別して、それぞれの動機ごとに、どういう”ロゴ化”を検討するのが良いか、解説していきますね』

 

 

動機1:第三者の模倣をどんどん止めていきたい場合

『冒頭に例示のあった英語専門の塾名に「スタディイングリッシュ」で商標登録を得たい動機が、他社の類似する塾名に対して、どんどんと”使用を止めてくれ”と権利行使をしたい、というものだったら、ロゴ化の方針は、どうあるべきでしょうか・・?』

『このような場合、第三者が”スタディイングリッシュ”と同じか、類似する塾名を使用している時に、高い確率で、”当社の商標(ロゴ)と類似だ!”と主張できる必要がありますね。

そうするとおのずと、 「最もテキストとして取得するのに近い形態のロゴ」 で、商標登録を目指す必要があります。”ワードロゴ”と言われていますが、文字列のみを利用してロゴ化するような方針となります。私の即席の創作ロゴで恐縮ですが、以下のようなワードロゴは、動機1に適しているかもしれません。』

ワードロゴ1

『もし、ワードロゴで全てのケースで商標登録を得られるのなら、この選択肢を全て取ればいいのではないですか?』

そういうわけには行かないのです。
というのは、

「権利を強くしようとすればするほど、独自性を捨てることになる」

と言え、このワードロゴが果たして、ロゴ化として認められるかどうか、特許庁にはギリギリの判断となろうかと存じます。少し太字のゴシック体で、若干斜めに表示されていて、下線はグラデーションで引いてある、のみですよね。これでロゴ化と認められるかどうか。

ただし、動機1のように、どんどん第三者の類似ロゴに対して権利行使をしたいような場合では、このようになるべく攻め気に独自性を排除して、ロゴ化をした上で商標登録の出願をしたほうがいいと言えます。』

有名なワードロゴ例

<独自性を最大限に排除したワードロゴの例>

 

動機2:第三者の、類似商標の取得を防ぎたい場合

『それでは次に、積極的に第三者の類似ネーミングの使用を差し止めたいわけではないまでも、第三者に、自社と類似するネーミングで、商標登録されてしまうことを防止したい、という動機の場合、ロゴ化は、どういう方針を採るのがいいのでしょうか?』

『私のお客様には、この動機2が最も多いです。自社のみ、そのネーミングをロゴ化して商標登録を得られ、類似するネーミングを他社が商標登録できないのであれば、

「実質的にそのネーミングを独占している」

に等しいと言えます。 このような動機2の場合、例えば、実際にロゴとして将来使っていきたいと思えるような、小さなワンポイントを含むロゴにしてはいかがでしょうか。(なるべく含ませる文字列は”実質的に独占したい文字列のみ”がよろしいかと存じます。 動機2では、特許庁がギリギリの判断をする程度まで独自性を減らす必要はないと考えます。 またまた即席のロゴで恐縮ですが、”スタディイングリッシュ”の例だと、以下のようなロゴ化で、十分かと存じます。

第三者の後発の商標登録の出願が、”類似”の範囲に該当するようにするため、これ以上は独自性を込め過ぎないほうがいいと考えます。』

ワンポイントを含むロゴ1

 

『例えば、第三者が、”スタディイングリッシュ”と、先ほどのワードロゴのような形で後発的に出願をした場合、上記のロゴで、後発の登録を妨げられるのでしょうか?』

ワードロゴ1

問題なく、登録を阻害できると存じます。上記のワードロゴの、ポイント(要部)は、”スタディイングリッシュ”の文字列と、グラデーション下線の部分ですよね。特に”スタディイングリッシュ”の文字列がインパクトのある部分と言えます。そのインパクトが最もある文字列”スタディイングリッシュ”の部分が、バッチリと類似に当たるため、後発でこのようなワードロゴを第三者が商標登録を狙っても、登録を得ることはできないでしょう。

もちろん、”スタディイングリッシュ”をかなり独自にロゴを付して後発で商標登録出願されたような場合、類似と判断されずに、後発も登録となる場合はあります。しかし、”かなり独自に”創作されたロゴが登録商標となった所で、あまりライバルとはならないでしょうから、やはり、動機2では、シンプルなロゴ化で、商標登録を得ておくことをお薦めします。』

ワンポイントを含むロゴの例

<ワンポイントを含むロゴの例>

動機3:自社の商標の使用に、第三者から文句を言われたくない場合

『3番目に、第三者が類似する商標を取得してしまうかどうか、あまり気にせずに、とにかく自社のネーミングとロゴの使用だけ可能であればそれでいい、第三者から”侵害している!”と言われなければそれでいい、という動機の場合、どのような方針でロゴ化を検討したらいいでしょうか?』

『動機3の場合は、言ってしまえば、無理してシンプルにする必要もなく、

「今まさに使用しているロゴのまま、商標を取ればいい」

と私は考えます。

これからロゴを創作して商標登録の出願をした上で、事業に使用していく、という段階の企業であれば、やはりシンプルさは求める必要は無く、意味や思いを込めて、最もロゴとして将来使っていきたいと思えるようなロゴを、ご検討して全く問題ないかと存じます。以下のように独自性がはっきり表れていても、これが商標登録として認められるのであれば、自社の将来のネーミングとロゴの使用は、安全に行い続けられることを意味します。

独自性の高いロゴ1

『なるほど~。独自性がはっきりしている印象はありますね。例えば、このロゴで登録商標を得た企業が、図柄の部分抜きで、”スタディイングリッシュ”という部分のみで使用したような場合は、第三者から、権利行使を受ける可能性はあるのでしょうか?

『私は、そのリスクは極めて低いと感じます。なぜなら、上記のロゴで、すでに商標登録を得られているのであれば、第三者が上記の”スタディイングリッシュ”の文字列部分のみに類似する商標(以下)

第三者の出願商標の例

上記を出願したとしても、先ほどのロゴ登録商標が邪魔となって、登録は得られません。従って、貴社の”スタディイングリッシュ”の文字列部分のみの使用に対して権利行使できる第三者が生まれるとは考えにくいのです。』

独自性の高いロゴの例

<独自性の高いロゴの例>

動機4:第三者に取られるぐらいなら、自社で取ってしまいたい場合

『最後に、、こんなお客さんもいらっしゃいますか?
とても良いネーミングを思いついて、自社ですぐに使用予定はないんだけど、第三者に取られてしまう前に、自社が商標登録をしておきたい、というような動機のかたです。』

『もちろんいらっしゃいます。私のお客様は中小企業やベンチャー、個人事業主が90%ですので、”現実に事業に使用する商標”の商標登録をご検討されるお客様が中心ですが、中には、そのように、”良いネーミングを、第三者に取られる前に、取っておきたい”というかたは実際いらっしゃいます。

そのような動機の場合は、なるべく、そのネーミングのみがその商標の”識別マーク”と言えるようワードロゴ寄りで、商標を取得しておくことをお薦めします。動機1のワードロゴの方針に近いかもしれません。』

ワードロゴ2

『ほとんど文字列そのままに見えますが・・この程度のロゴ化でも、登録は得られるのでしょうか?』

登録となるかどうか、ギリギリの線かと存じます。しかし、”第三者に取られる前に自社で取っておきたい”という動機の場合は、あまり独自性の高いロゴにせず、なるべくシンプルなロゴ化で、登録を目指したほうが、将来、第三者による後発の商標登録の出願を、妨げやすくなるかと存じます。』

ワードロゴの例2

<ワードロゴの例>

『最後に、あなたがパソコンの中に入れた独自のフォント(書体)の中には、そのフォントによる文字列を含んで商標登録を得ようとするときに、承諾を要するフォントも存在すると聴いたことがありますので、市販のフォントで商標登録を目指すときは、そのフォントの利用規約なども、チェックしてください。』

 

 

 

 

執筆:田村恭佑
(弁理士×経営コンサル×認知心理学)

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、収益改善・組織作り、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

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