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新元号で商標を取る方法

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こんにちは。商標・著作権・知財契約などを専門とする弁理士の田村(たむきょん)です。 先週、『商標登録、新元号も平成・昭和もできません 政府方針』というニュースがありました(朝日)。 このニュースだけ見ると、「元号を含むと...

こんにちは。商標・著作権・知財契約などを専門とする弁理士の田村(たむきょん)です。
先週、『商標登録、新元号も平成・昭和もできません 政府方針』というニュースがありました(朝日)。
このニュースだけ見ると、「元号を含むと、何が何でも商標登録できない」と、事業者さんが委縮してしまいそうですが、実際は、そんなことはありません。その「境目」を解説したく思います。

※たった今、新元号が『令和』と発表され、若干、記事を修正しました(新元号を具体的に入れました)2019年4月1日

新元号『令和』はいつから?

『そもそも、新元号『令和』は、いつから始まるんでしたっけ?』

来年(2019年)の5月1日からと決定したようですね。』

『新元号は、いつ頃、決まるんですか?』

『新元号となる、1か月前、つまり、2019年の4月1日頃と発表されています。』

 

新元号「令和」になると、「平成」は登録商標にできる?

『新元号になると、”平成”は、商標登録できるようになるんですよね?!

『今の、特許庁の定める、商標の”審査基準”では、”現元号”のみ、登録できない、と記載されていますが、先週のニュースによると、その審査基準を修正して、”元号”と、以前の元号も含めて、登録できない、と審査基準に明記するようです。』

『じゃあ、審査基準が修正されるまでは、例えば、以前の元号、昭和、大正、などの商標は、登録できるんですか?

『いいえ。実際は、現元号に限らず、これまでの元号も、商標登録は認められていません。ただし、”大正製薬”や、”ショウワノート”のように、世の中に認知されている商標は、例外として、登録が認められているようです。』

 

元号を含む商標は、絶対に登録と認められないのか?

『昔から経営していて、世の中に認知されている商標は例外で登録と認められるのは、よくわかりました。でも、これから事業を始める人、会社が、どうしても”元号”を含む商標を取りたいと考えた場合、方法はないのでしょうか??有名になるまで年月をかけなければいけないのでしょうか・・・』

今日の本題ですね!もちろん、元号を含む商標を、取る方法はありますよ!

具体例で教えてもらえませんか?!』

『(ここでは、すでに有名となった商標の話は省略しますね)
例えば、NGな例は以下です。

  1. 「おまんじゅう」に、「平成まんじゅう」「新元号+まんじゅう」
  2. 「塾」の名前として、「平成塾」、「令和塾」

これらは、”元号と、単にサービスや商品の内容とから構成されているに過ぎない”から、登録を認められないんです。

一方で、以下は、考え方としては、OKと思われる例です。

  1. 「金融セミナー」の名前として、「令和を生き抜くお金セミナー」
  2. 「サプリメント」の名前として、「令和ピュアスキン』
  3. 「コンサルティング」のロゴマークとして以下

元号を含む商標でOKな例

これらは、単に、”元号”+”サービスや商品の内容そのもの”ではありませんよね。

  1. 元号と、独自の工夫をしたネーミングとの結合
  2. 元号を含むがロゴマークである

これらの商標であれば、たとえ、新元号、旧元号を含む商標であっても、登録と認められる可能性は十分にあると存じます。

 

新元号で商標を取りたい場合の注意点

『なるほど~!なら、上記のような工夫をすれば、必ず登録は認められるんでしょうか?』

『いいえ、残念ながら、必ず、とは言えません以下のような場合には、登録と認められませんので、注意が必要です。

  1. 類似する既存の登録商標がある場合
  2. 特許庁の審査官から見れば独自の工夫が認められない場合
  3. 商品の内容と商標の名称の関係上、消費者による品質の誤解を招く場合
  4. その他、商標の審査基準上、問題を含む場合

 

最後に…なぜ、元号を商標として認めないのか

『たむきょんさん、最後に1つ教えてください。そもそも、どうして、元号は商標として、認めてもらえないのでしょうか?

『一言でいうと、”特定の一個人、一法人の、識別マークとは、認めることができないから”です。』

『”識別マーク”?もうちょっと分かりやすく、お願いします』

”識別マーク”というのは、”その名称を聞けば、そのマークを見れば、あの会社の商品だ!と、連想できるマークのことです。
”平成まんじゅう”や、”平成塾”と聞いて、特定の会社が連想できるとは、考えづらいですよね?
そういう名称を、特定の一個人、一法人に、商標として認めてしまうと、ビジネスの秩序が乱れますよね。
裏を返せば、
”元号を含んでいても、”特定の一法人の識別マークに十分なるのであれば、商標として認めらる可能性あり”ということですね♪』

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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