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『大迫ハンパないって』の商標権と肖像権を解説!

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「PPAP」の時も、やっぱり「タダ乗り」商標が登場しました(私どもの記事はこちら)。 なんと、「大迫ハンパないって」も、ローマ字ですが、全くの赤の他人が4年前に、商標取得をしてしまっているそうです(livedoorNEW...

「PPAP」の時も、やっぱり「タダ乗り」商標が登場しました(私どもの記事はこちら)。
なんと、「大迫ハンパないって」も、ローマ字ですが、全くの赤の他人が4年前に、商標取得をしてしまっているそうです(livedoorNEWSより)。
Googleで検索する限り、たくさんのお店から、大迫ハンパないってさ、と書かれたTシャツが販売されていました。
商標権、肖像権、著作権などの問題を、なるべく分かりやすく、解説しました。

 

「大迫ハンパないって」が赤の他人に商標登録されている??

『昨日のネットニュースで、”大迫ハンパないって”が、4年前に他人に商標登録されている、という記事を見ましたが、本当でしょうか。』

『調べてみると、ローマ字”OSAKOHANPANAITTE”(オオサコハンパナイッテ)で、”被服”の分野で、個人が商標取得をしているようでした。2014年の出願のため、時間の流れからすると、その言葉がすでに出だしたことを受けての商標取得でしょう。』

『これって、商標の法律上、有効なんでしょうか?』

『これは、残念ながら、有効だと考えます。その頃の、このキャッチコピーの知名度、そして、ローマ字で、造語のように一連で取っている点、などから、他人の周知表示へのタダ乗り、とは審査でも判断されないでしょう。』

 

Tシャツ販売は商標権侵害?



 

『上の画像のように、Googleで”大迫 Tシャツ”と画像検索すると、ずらっと色々な販売元から、大迫半端ないってTシャツが販売されているようなのですが、商標権の侵害には当たらないのでしょうか?

登録商標と類似するか、は、”見た目”、”呼び名”、”意味”の3つの観点で、総合的に判断されます。登録商標は調べる限りだと、4年前に取得された、”OSAKOHANPANAITTE”のみ。そうすると、この文字列を、胸元にワンポイントとして入れている、とか、背中のタブに記載されている、とか、Tシャツ正面であっても、ガラとして入れているのではなく、Tシャツブランドの名前と感じられるような形で入れている場合は、商標権侵害に当たる可能性があります。
一方で、Tシャツの正面に、ガラ・デザインとして、ドーンと入れていたり”大迫(改行)半端ないって”と、一連の造語としてではなく入れていたりローマ字であっても、OSAKO(改行。離して)HANPANAITTE”と入れているような場合は、おそらく、商標権の侵害と主張は難しいと考えます。”OSAKOHANPANAITTE”の商標上のポイントは、”造語である点”と、”具体的な意味合いを想起させない、一連のローマ字である点”の2点かと存じますので。』

 

相手チーム元主将の肖像権は大丈夫?

『では、別の視点で、Tシャツの真ん中に大きく、この発言をした、相手チームの元主将と思われるかたの肖像画らしきものが描かれていますが、これは、肖像権の侵害には当たらないのでしょうか。』

『弁護士のかたのWeb上の解説記事を端的に説明すると、肖像権の侵害に当たるのは、以下全ての要件を満たしている場合だそうです。

  1. 特定の人物をメインに表しており、その人物であると特定ができる・・・×
  2. その写真・映像を”公表”してしまっている・・
  3. その公表行為により、被写体が、精神的負担を感じている・・・
  4. 被写体から、Tシャツ用途で使うことの許可を得ていない・・・おそらく

この程度デフォルメされた肖像画ではすでに肖像画とは呼べず、誰か個人を特定できるとは言えません。私なんかは、この絵を初めてサッカー中継で見たとき、”大迫選手自身の顔かな。似てると言えば、似ているのかな・・”と、言ってしまえば、誰に似てると言われても、そう言われたら似ているかも、という程度に崩して書かれていますよね。
したがって、おそらく、元主将の、肖像権の侵害に当たるかと言えば、、ちょっと難しいかもしれません。
ちなみに、、報道番組で、元主将が実際に泣きながらこの発言をしているシーンがよく映されますが、各TV局は間違いなく、こちらの元主将から放送の許可、肖像権の許諾を受けているはずです』

最初にこの絵をデザインした人の著作権

『では、、色んな業者が、このイラストとキャッチコピーとで、商標権侵害には当たらないよう、Tシャツを作っても、全く法的に問題ない、ということでしょうか・・?

『著作権の観点でも考える必要がありそうですね!
キャッチコピー自体が、著作物に当たるためには、そのキャッチコピーが、<思想または感情を、”創作的に”表現>されている必要があります。”創作的”と感じる人は、少ないと存じますので、キャッチコピーは、著作物には当たりません。
一方で、とってもデフォルメされた、元主将のお顔は、画像編集ソフトで、ちゃちゃっと導出できました、などでない限りは、ひょっとしたら、初めて絵を描かれたかたの、”著作物”に当たるかもしれません当たるのであれば、その著作権者の許可なく、Tシャツなどに、この絵を挿入することは、”著作権侵害”に当たる可能性は充分にあります。

 

Webで「ハンパないって」とつぶやくのはセーフ?

『最後に・・例えばTwitterやfacebookで、つい、”まじ半端ないって”とつぶやきたくなる今日この頃なのですが、その行為は、問題ないでしょうか?』

『今述べたように、そのキャッチコピー自体は、著作権とは到底いえません。そして、”OSAKOHANPANAITTE”(オーサコハンパナイッテ)と、商標登録されていますが、”被服のブランド名”として、他人が使えない、というだけです。SNSでつぶやく行為は、”商標の使用”には当たらないと考えますので、したがって、どんどん呟いていただいて、問題ないでしょう。』

『分かりました!どんどん呟きます!』

end
(アイキャッチ画像の背景は、朝日新聞デジタルより)

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・知的財産、民間資格の設立、人間関係、これらで、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

みぎのうで知財事務所(代表 田村)

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