
まんぷく、下町ロケット、陸王。
最近、「知的財産」を題材としたドラマが非常に多く、ニュースでも、「商標」や「著作権」など、知的財産に関するニュースが無い日はないほどです。
この記事では、知的財産の専門家である弁理士が、小学生でも分かるぐらいの気持ちで、「知的財産」とは何か、をまとめました。
知的財産って何?!
まずは、”知的財産”って、何なんでしょうか??
一軒家・マイホームが「目に見える財産」だとして、「知的財産」は、それと違う財産、「目に見えない、人の脳が作りだした成果、財産」のことを言うんだよ。
昔から日本は、中国やアメリカと比べて、面積がずいぶん小さく、それでも台頭に世界で活躍するためには、資源を武器とすることができなかったら、「自分たちで作りだすもの」を武器にせざるを得なかったっていう歴史の中、頑張ってきた。
だから、日本に生きる限り、「知的財産」は無くてはならない、僕たちの武器なんです。
なるほど・・
それでは、知的財産って、何種類ぐらいに、分けられるんですか?
(説明する人によって異なりますが)
大きくは、5つあります。
発明(はつめい)
エジソンが初めてライト・電球を作ったんだよね。これまで無かった”技術”の面の特徴のことを言います。
これを発明と言って、一番早く発明して国に申し出した会社や人は「特許(とっきょ)」をもらえる。
「その会社・人しか、その電球を売ったりしてはダメ」という。

商標(しょうひょう)
『えりなさんはポケモン、好き?』
『はい、毎日のようにポケモンをゲームでやっていますよー!』
ポケモンという名前で、あっちこっちのメーカーから似たようなゲームが出てたら、買うの、迷うよね?
だから、これも、一番最初に、国に申し出した会社・人だけが、「ポケモン」という名前を商品に使っていいんだ。国が認めて独占できる商品名を「商標」っていうんだ。

著作物(ちょさくぶつ)
TVとかYouTubeとかよく見ますが、とてもよく耳にする言葉ですね!
これが世の中に一番多い知的財産。
えりなさんが美術の授業で独特な絵を描いたとするよね。
この絵は完成した時点で、「著作物」と言って、誰も、無断で、真似して描いちゃいけないんだ。
気持ちや考えを、創作として形にしたものを著作物という。
えりなさんが大好きな、「君の名は。」の映画を見ているときに、スマホで、こっそり録画なんかしたら、「君の名は。」の著作権を汚したことになり、捕まっちゃう。
これは国に申し出しなくても、完成した時点で、著作物。
だから、世の中に一番多いんだ。

意匠(いしょう)
例えば、右の車は速いけど、カッコ悪い。左の車は同じ速さで、カッコいい。えりなさんはどっちの車が欲しい?
『それはもちろん・・・左です!』
そうだよね。
この「見た目のカッコよさ」を一番最初に作った会社が、国に申し出したら、「意匠」と認めてもらえて、その会社だけが、そのカッコいい車を、販売していいんだ。

ノウハウ
カルピスは子供に大人気だよね?
もう110年も前に生まれたんだ。
それなのに、カルピスを他の会社が作れないのは、特許のせい?発明のせい?
ううん。
違う。
特許は、長くても20年で切れちゃって、その後は誰でも使えるようになるから。
カルピスは、その作り方を、カルピスの会社だけの秘密にしてるんだ。
その「作り方の秘密」のことを、「ノウハウ」って言う。
これも著作物と一緒で、国に申し出しなくても、完成した時点で、ノウハウに当たる。

知的財産は、一生有効?!
知的財産って一度でも生んでしまえば、一生有効なのでしょうか?
残念ながら、そんなことはありません。
もしそうだとしたら、、世の中は、「もっと良い知的財産を生もう!」という意欲が、きっと無くなってしまうでしょうね。
だから、多くの場合、期限があるんです。
以下に、それぞれの知的財産が最高で何年続くのか、まとめておくね!
- 特許 ・・・最初に国に連絡した日から20年
- 商標 ・・・希望してお金を払えば永久に
- 著作物 ・・・作った人が死んでから50年まで(例外あり)
- 意匠 ・・・国が意匠と認めた日から20年
- ノウハウ・・・秘密で在り続ける限り、永久に
全てのお仕事は知的財産に関係する仕事?!
これは、どういう意味でしょうか??
えりなさんのお父さんは、どんな仕事をしてるかな?
色々な種類のお仕事と、「知的財産」がどう関わっているか、説明してみるね!
『保険の営業』
どういう条件のときに、どういうサービスが受けられるか、をしっかりまとめあげたものは、立派な著作物もしくはノウハウだよね。
だから、保険の営業マンは、「自社の知的財産を売る仕事」なんだよ。
『マクドナルドの店長』
マクドナルドが、他のハンバーガー屋さんじゃなくて、いつもいつも選ばれるのは、マクドナルドのハンバーガーの味は、マクドナルドでしか再現できないからなんだよ。
つまりマクドナルドのハンバーガーは、「ノウハウ」なんだよ。
そして、「マクドナルド」という商標を頼りに、お客さんが集まる。
つまり、マクドナルドの店長さんは、「知的財産の集まりであるメニューを商品にしている」んだよね。
『システムエンジニア・プログラマー』
パソコンやスマホで、動かせるアプリを、お父さんが開発してるとするよね。
そのアプリは、完成した時点で、「著作物」。
国に連絡したら、「特許」かもしれない。
つまり、お父さんの作ったアプリは、勝手に他の会社が真似して作ったらいけないんだよ。
お父さんは「知的財産を創っている」んだよね。
こんな風に、全てのお仕事には、今までの人たちが築いてきた「ノウハウ」が必ずあって、そのノウハウを活用するか、売り物にするか、して、新しい知的財産を創る、そんな仕事なはずだよ(っ´∀`c)
最後に、若い人は、知的財産と仕事を、どう考えると良い?
『えりなさん。
将来、お仕事につくと思うけど、世の中の全ての仕事は、「知的財産と切っても切れない関係」なんだ。
そして、その仕事は、『新しい知的財産を生み出す仕事』を出来ると理想だと思う。
もし、それが難しかったら、『知的財産を、上手に使いこなす仕事』の仕方だと、いいだろうね!』
知的財産は、とっても身近なところにたくさんあって、でも、知的財産と呼べるだけの価値ある創作かどうか、は大切なラインなんだろうな、って感じました。
頑張って、知的財産を付加価値にできる仕事をしていきたいと思います!
そうですね。
知的財産は、創るものだ、と意識しているのと、していないのと、では全く成果が異なってきます。
是非、新しい知的財産の創作に、いつでもチャレンジしてみてください(σ’∀’)σ