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研究活動に着目したコンプライアンスの概要

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こんにちは。弁理士・経営コンサルティング・研修講師をサービスとしております、たむきょんこと、みぎのうで㈱の田村恭佑です。 昨日は、埼玉県の大学様で、全教職員の方々向けに、コンプライアンスの第二段として、『研究活動に着目を...

こんにちは。弁理士・経営コンサルティング・研修講師をサービスとしております、たむきょんこと、みぎのうで㈱の田村恭佑です。
昨日は、埼玉県の大学様で、全教職員の方々向けに、コンプライアンスの第二段として、『研究活動に着目をしたコンプライアンス研修』をテーマに、登壇させていただきました。(もし関係者のかたが、こちらの記事を読んでいただいておりましたら、機会をいただき、感謝いたします
多くの企業で重要視され始めている「コンプライアンス」ですが、こちらの大学様では、大変組織としての意欲・意識がお有りで、更に具体的に、「大学教員の方々の”研究活動”」にスポットを当てて、必要なコンプライアンスをレクチャーしてほしい、とのご要望でした。この1年間で約半年ごと3度目の登壇で、大変ありがたい限りです。
今回の記事では、報告、というよりも、”研究活動”に着目した時のコンプライアンスについて、ざっと紹介させていただきます。

 

研究活動におけるコンプライアンスの全体像

『大学や研究所などは、研究者の方々に、どういう面でのコンプライアンスを意識してもらう必要があるのでしょうか?』

『様々な研究分野があるとは思いますが、それでも、おおよそ一般的には、以下は重要なコンプライアンスなのではないでしょうか。

  1. 秘密保持+個人情報保護
  2. 契約の必要性(他企業との関わり方)
  3. 人権の保護(被験者が居る場合)
  4. 著作権侵害の防止
  5. 改ざん・盗用などの防止
  6. 研究費の不正利用や横領の防止
  7. 利益相反の防止
  8. 安全保障輸出管理の浸透

 

例1:倫理審査(被験者の人権の保護)

『被験者がいる実験、調査などをするような研究の場合、どのように研究者は注意をする必要があるのでしょうか?』

『被験者がいて、かつ、”人を対象とした医学系研究”においては、その被験者の人権に配慮するために、文科省と厚労省が連携して、指針を定めています。』

文科省厚労省の倫理指針

『人権に配慮をした上で、研究者や大学は、どんなことを求められているのでしょうか?』

『おおまかに言うと、研究者は”研究計画書”において、被験者の人権にしっかりと配慮をします、ということを計画した上で、その計画書を、大学が定める委員会と大学のトップとで、承認するという手続きが求められます。
一見、研究者にとって事務手続きが増える、負担が増える、ように感じるかもしれませんが、人を対象とした医学系研究において、被験者の人権に配慮することは、文科省・厚労省が指針を定める前から、当たり前なこととして求められていたことでした。それを、”手続きとして明確にした”ということですので、その手続きを、受験勉強のようにしっかり覚える、実行する、という考えが必要なように、私はお伝えしています。』

 

例2:研究活動と著作権

『研究活動をしていく上で、”他人の著作物を無断で複製してはいけない”とか、”出典を明記しなければならない”というのは、何となく分かるのですが、研究者の方々は、ほかにどのような疑問や関心があるのでしょうか?』

『昨日の研修では、事前に年末にいただいていた研究者の方々のアンケートに基づいて、内容を構成したのですが、例えば、以下のような疑問をお持ちのようでした。

  1. 学会に著作権が譲渡されている自分自身の論文は、他の論文に流用して問題ないのか?
  2. 法上の”引用”とは、どのような分量なら認められるのか?
  3. グラフやフローチャートは、”著作物”に当たるのか?
  4. 著作権者から許諾を得る方法を教えてほしい
  5. 共同著作物は、その後1人でも使えるのか?

昨日は上記全てに私なりにお答えしました』

『例えば、上記1.の自分自身の論文を次の論文に流用できる?というのは興味があります。』

『著作権というのは、他の知的財産と比べて、”使うならお金払ってね”という”積極的”な権利よりも、”私に無断で使わないでね”という、”消極的”な権利の側面のほうが強いです。それは、著作権が、”肖像権”や”プライバシー権”に近い性質を持っている、ということも表しています。そのことをお伝えし、また、判断の流れを、フローチャートにして、お伝えしました。』

自分の論文は引用可能か

 

例3:契約の締結、企業との関わり方

『自身の組織内だけではなく、他の研究機関、企業の研究者のかたと連携して、研究をするような場合、どういう契約が必要なのでしょうか?』

『どんな研究をするにも、まずは、”秘密保持契約”(NDA)です。民間企業と研究打合せをするときの、”名刺交換”ぐらい、当たり前の契約となります。締結のハードルも非常に低いものです。』

『NDAさえ締結すれば、基本的には、他企業と連携した研究は問題なく行えるのでしょうか?』

『残念ながら、そういうわけにはいきません。NDAには、かなり最小限の条項しか入れないのが一般的です。その性質は”どんな連携をできるか、お互いの研究領域をまずは見せ合いましょう”というもので、”どんな連携ができますね”ということが決まってからでないと、約束できない内容も多いため、NDAには最小限の条項しか入れないのです。NDAは”スピードが命”とも言われています。
NDAのあと、どのような契約締結の流れになるか、は、昨日は、以下のフォローチャートをお作りし、ご説明しました』

企業との関わり方フローチャート

 

例4:実験ノート、研究記録ノート

研究成果が自己のものであるか、確かにその成果が創出されたのか、などを後々立証するためにも、研究者が自身の身を守るためにも、”研究記録ノート、実験ノート”は重要だと聞いています』

『そうですね。STAP細胞の論文問題があって以降、文科省も本腰を上げて、研究不正の防止に力を入れています。私は、昨日は以下のように実際に手書きノートの例をお示ししました。赤文字が、”どういう点に注意しているか”というコメントです』

研究記録ノートの例

文系、理系によって違いはあるのでしょうか?』

『ノートの例を見ていただければ分かるように、研究テーマがあって、そのテーマへの問題意識があって、仮説を立て、その仮説を立証する、という研究の大きな流れは、文系か理系かで、違いはありません。従いまして、ノートのルールは、文理で意識していただく必要はないと存じます。まずは、習慣化が大切です。とじ込み式のノートではなくルーズリーフであっても、とにかくまずは習慣になるまで、やりやすいように、やってみるのがいいとお伝えしています。』

 

『いかがでしたでしょうか。かいつまんでご説明申し上げましたが、コンプライアンス全般、研究活動にスポットを当てたコンプライアンスなど、もしご関心ございましたら、いつでもお声がけください。
お問い合わせ

 

記事をお読みくださり、ありがとうございます。

商標・その他知的財産の面、もしくは収益改善や組織作り等の面で、ご相談いただけることがありましたら、是非お気軽に、こちらからお問い合わせください。近日中にご返信いたします。

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