ピコ太郎のプロデュースを行ったエーベックス社が、日本で「ペンパイナッポーアッポーペン」(PPAP)の商標登録を得ましたが、その登録に対して、米APPLE社が、「当社の、APPLE商標などに、類似するから、登録を取り消してくれ」と、異議を申し立てました。
その結果などをこの記事で分かりやすく簡潔に、書きます。
(なお、以前記事にしましたが、ベストライセンス社による、PPAPタダ乗り商標出願とは、今回の件は、別の話です)
この記事の要約
- 「ペンパイナッポーアッポーペン」が商標登録になった(エーベックス社)
- それに対してアップル社が、「うちの商標と類似するから、登録を取り消してくれ」と特許庁へ異議
- 半年後、特許庁が出した結論は、「異議を認めず、登録を維持する」
アップル社は何が問題だと言ったの?

主張1:「APPLE」という登録商標は、たくさんあるぞ
カタカナ(つまり、読み方でしょうね)に加えて、英字を含んで、商標登録となっていますね。アップル社は、以下のように、”APPLE”という部分のみに着目し、”たくさんの既存の商標と類似じゃないか”とまずは主張していますね。

主張2:「APPLE PEN」は、「APPLE PENCIL」と類似だぞ
次に、以下の部分に、「APPLE PEN」という二語がありますね。そこを取って、「アップル社の、”APPLE PENCIL”という有名な商標と類似じゃないか」と主張しています。

主張3:アップル社の名前を、馬鹿にした登録商標じゃないか
最後に、「”ペンパイナッポーアッポーペン”は、おふざけの歌だ。これを商標登録されてしまうと、アップル社のブランドが汚れる」という主張もしています。』
特許庁は結局どう判断したの?
- 類似していないのだから、「ペンパイナッポーアッポーペン」が、アップル社のブランドの価値を下げるようなことには、繋がっていません
』
これで戦いは終わり・・?
- 登録が公開されて2ヶ月以内に、”誰でも”できる、”異議の申し立て”
- その後、”利害関係のある企業(人も)”が請求できる、”登録への無効審判”
今回は未だ1の段階ですから、アップル社が、この登録商標と、利害関係がある、と考えれば、まだ、2の「無効審判」を請求してくる可能性は、ありますね。』
田村の見解
(1)特許庁は使用実態を、尊重してくれた
私が商標に携わるのは、99%、商標の登録審査、のほうの段階です。
その段階においては、時々、特許庁から、機械的な判断を通告されることが、あるんです。残念ですが。
「え~~、それ、非類似でしょう・・」
と言いたくなるような判断です。
これは、商標の登録審査の段階では、どうしても、審査官1人1人の個性が出てしまわないように、”画一的”なマニュアルに沿った、審査をするように、なっているからだと思うんですね。
だけど、今回のアップル社の異議に対する判断は、”「ペンパイナッポーアッポーペン」は、日本人なら、一連として発音するのが当たり前なんだ”というもので、これは、画一的ではなく、しっかりと、使用実態を、尊重してくれていますよね。私は、こういう血のかよった判断は、好きです。
(2)米国の大企業は、さすがにブランド価値を気にしている
アップル社の異議の内容で、とても印象的だったのが、「ペンパイナッポーアッポーペン」を「コミックソング」だと言い、「アップルのブランドが希釈化(価値が弱まる)する」と、主張している点です。
実際、APPLE PAYや、APPLE PENCILと類似、という主張よりも、アップル社は、ブランド価値の低下を懸念して、異議の申し立てをしたんじゃないか、と想像します。
それだけ、ブランドの価値を守るって、大切なことなんですよね。思い知らされました』
執筆:田村恭佑 (弁理士/経営コンサルタント/人間関係メンター)

