
こんにちは。弁理士の田村(たむきょん)です。
最近名刺やSNSで、独自の、ユニークな「肩書き」を宣伝なさっている方々、増えていますよね!
横へならえ、ではなく、自分というカラーを持って、アピールしていく。そんな世の中になりつつあるのかもしれませんね。
さて、今回は、そんな「独自の肩書き・資格名・キャッチコピー」を商標登録できるのかな、と漠然とお考えの個人事業主様、フリーランスのかた向けに、解説いたします。
働き方改革が止まらない!自分だけのオリジナル肩書き

『自分だけのオリジナル肩書き、って例えばどんなものでしょうか?』
『えっと、もともとある資格名をそのまま名乗るのではなく、例えば、「キッチンお掃除コンサルタント」とか、「お一人様向け家事代行コンシェルジュ」とか、「お金が貯まる風水アドバイザー」のように、その肩書きを聞けば、何となく、どんな手伝いをできるかたなのか、が想像できて、しかもオンリー1。
そんな肩書き・資格名を自作されているかた、最近多いと思いませんか?』
『確かに、SNSでよく目にしますね!
もともとある資格名を名乗る方々のグループの一員として、サービス提供や活動をされているのではなく、一定の知識とスキルを持っているかたが、自分の肩書きを看板にして、消費者向けにサービス提供をしている、というイメージですよね?!』
『はい、まさしくそういうイメージです。
独自の肩書きをお持ちになって、自分なりにサービス提供をする方々が増えている背景には、”働き方改革”というものが根強く起因していると思っています。
2020年は特に、そのような独自の肩書きを持つかたが増えているようにお見受けします。
それはやっぱり、コロナのことがあり、事業主の方々、主婦の方々、もともと従業員であった方々、皆さんが、共通して、
”ご自身の働き方を改革して、何か自分なりの武器を持って、社会に貢献していく”
という考え方の変化をさせていっている証拠ではないかと、私は考えています。』
特定の講座を経た場合であっても、独自の肩書きを持とう

『例えば、私は、2019年に半年かけて、ヨガの先生になるための講座に通いました。
それで、無事、その講座を修了して、ヨガの先生を名乗れるんですが、そんな私はやっぱり、その講座が定める講師名を名乗ったほうがいいのでしょうか?
「草間式スローヨガ認定インストラクター」という資格名(肩書き)なんですが・・・』
『どちらでも良いと思います。
もし、えりなさんが、その資格名を名乗って十分に、えりなさんのやられたいことを実現できるなら、そして理想とする収入を得られるのであれば、その資格名を名乗って、お仕事をされるといいでのはないでしょうか。
一方で、その資格名を名乗っても、同じく資格を持つインストラクターとの差別化などが不十分で、お客さんもあまり得られず、収入も思っていた通りには得られない・・という場合は、
あなたなりの差別化をかけ算した、新たなサービス&肩書き
を、考えてみたら、更にプラスになるのではないでしょうか?
特定の講座でしっかり学んだ知識やスキルを、あなたらしく、”ステップアップ”させて、更にあなたのやりたいことの実現を加速させていく。
そんなイメージを持っていただくといいのではないでしょうか。』
『なるほど!!
でも、私の場合、例えば、どんな独自の肩書きが、考えられるんでしょうか?
私が特に強みにしているのは、ものすごく身体が硬い人向けのヨガ指導なんですが。』
『すでに、そういう強みや差別化が、イメージできているんですね!
では、肩書き、あまり深く考えずに提案しますね♪(お許しを・・)
ガチガチ入門ヨガインストラクター
意識したのは、その肩書きを見たら、どんな人が対象で、どんなサービスをしてくれるのか、直感で伝わるように、ということです。
ちなみに、タグラインとか、キャッチコピーとか、スローガンとかでも、独自性をアピールすることはできますね!
こんなキャッチコピーを考えてみました。
さよなら!ガチガチな自分。
(その次の行に、肩書きが続くイメージ)
意識したのは、そのキャッチコピーを見たら、自分が対象だということが伝わり、そして、ワクワクするイメージを持ってもらう、ということです。私、とか俺、という言葉を使わずに性別を選ばない工夫もしました。』
弁理士が「商標登録したほうがいいかも!」と直感する肩書きとは?
『肩書きの自作について、イメージは出来てきました。
独自の肩書きやキャッチコピーが出来たら、みんな、商標登録を検討したほうがいいのでしょうか?』
『いいえ、そんなことはありません。
以下のどれかにあてはまるかたは、ぜひ、自作の肩書き、資格名、キャッチコピーの商標登録を検討なさってみてください。
- その肩書きを聞いたかたはいつでも、ご自身のサービスを直結して思い出してもらえるようになりたい
- 同じようなサービスをする同業のかたに、類似する肩書きを名乗らないでもらいたい
- 同じようなサービスをする同業の方々との差別化をしっかりと図っていきたい
ちなみに・・・以下のような肩書きやキャッチコピーは、残念ながら、商標登録は認められません。
- 「柔軟スローヨガインストラクター」のように、肩書きが、ただ、サービス内容をそのまま言い表したに過ぎないもの
- 「草間式」というのが、ヨガの教授の分野で、商標登録されている場合、例えば「草間式入門ヨガ」と、登録商標と類似する肩書き
- キャッチコピー「硬い身体を軟らかくしよう」のように、独自の言葉が使われておらず、”標語”に過ぎないキャッチコピーである
上記は、商標登録を認められず、つまりは、誰も独占して使用できないことを意味します。(2.は、使用を続けていると、商標権侵害で訴えられる可能性あり)
独占して使用できない、ということは、5年、10年とその肩書きやキャッチコピーを使用し続けても、
その肩書き・資格名・キャッチコピーを聞けば、誰のサービス提供なのか、消費者が想起できる
という状態を、何年かけても得られない、ということになります。』
『弁理士さんから見て、どんな肩書きやキャッチコピーは、”商標登録したほうがいい!”と感じるんでしょうか??』
『私たち弁理士は、職業病のように、SNSや仕事その他で見聞きする肩書き、ネーミング、ロゴなどを、”あ!商標登録したほうがいいのに・・!”と自然と考えてしまうものです。
どういう肩書きやキャッチコピーは、商標登録をしたほうがいいものなのか、というと、私の判断基準は以下です。
- 独特すぎない
(独特過ぎるものは、あえて商標登録しなくても独占状態なので)
- その肩書きから、どんな差別化をされているのか、伝わる
- 短いけれど独自性を含んでいるキャッチコピー
- サービス内容が伝わるし、かつ、独自性も含んでいる肩書き
- 誰もがきっと使いたくなるような肩書き、キャッチコピー
- よく耳にする資格名や肩書きとは似ていない
1つの肩書きの、商標登録のための費用は約9万円です。』
自作の肩書きの「商標登録」のタイミングについて

『↑これは、商標登録になったら発行してもらえるんですか?』
『そうです。土地や建物は形のある”有体財産”で、これらを持つことは素晴らしいことですが、商標(特許も)は、形のない”無体財産”と言って、それでも、
その商標と、同一または類似する名称を自分だけが独占できる
という立派な、権利であり、財産なんです。この登録証が手元に届くと、”もっともっと、自分のブランドを確立していきたい!”と感じるかたは多いそうです。』
『私が、自分だけのオリジナルの肩書きを考え始めたとき、どういう順番で、商標登録などを検討すればいいのでしょうか?』
『一番大切なことは、”どういう特徴が、周りのライバルとは異なるのか?”、つまり差別化ポイントを、ご自身でハッキリと自覚することかと存じます。
それで、理想の肩書きの作り方は、”あなたの肩書きを見た人は、あなたの差別化ポイントを理解できる”ということです。
その上で、おおよそは以下のような順番で、商標登録の検討を進めて行ってはいかがでしょうか(正解は1つではありません)』

『コロナ禍で、私も、自分の働き方や能力について、考え直したいところでした!!
私も、自分にぴったりの肩書きを、作ってみます!』
『楽しみですね!
どういう段階で、ご相談をいただいても構いませんよ!お金はかかりませんので、1人で行き詰ったら、いつでも気軽ご連絡ください。』
執筆:田村恭佑
(認知心理学×弁理士×経営コンサル)